眼窩吹き抜け骨折とは?原因・症状・治療法を解説
頭蓋骨には眼球が収まるための「眼窩(がんか)」とよばれる空洞があり、強い衝撃などが原因で骨折が起こることがあります。
この眼窩骨折には種類がありますが、「眼窩吹き抜け骨折」と呼ばれるタイプの骨折があることをご存じな方はあまり多くないのではないでしょうか。
そこで本記事では、眼窩吹き抜け骨折とはどのようなものなのか、どのような原因で起こる骨折なのかを詳しく解説します。
あわせて、眼形成手術を専門とするオキュロフェイシャルクリニック東京が実際に治療させていただいた症例のご紹介もするので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:【眼形成外科医が解説】眼窩底骨折とは?原因・主な症状・手術の必要性について
目次
眼窩吹き抜け骨折とは

眼窩吹き抜け骨折とは、眼窩(眼球が収まる部分)の内部、特に骨が薄い部分(眼科底や内側の壁)が穴が空いたように折れてしまった状態を指します。
穴が空いてしまうため、眼窩のなかにある眼窩脂肪などの内容物が外へ漏れ出します。
眼窩吹き抜け骨折の特徴
眼窩吹き抜け骨折の主な原因や起こるメカニズム、起きやすい部位を解説します。
眼窩吹き抜け骨折の主な原因
眼窩吹き抜け骨折の主な原因として、以下のように眼球よりも大きな物体が顔面に強く当たることで発生するケースが多いです。
- スポーツ中の外傷:野球やソフトボールなどのボールが当たる。
- 喧嘩や事故:拳や肘が当たる、交通事故に遭う。
- 転倒:顔面を強打する。
骨折が起こるメカニズム
目のまわりの骨(眼窩)は薄くて繊細な部分があり、目の正面から強い力がかかると、その力が逃げ場を失って下や内側の壁が「吹き抜ける」ように割れてしまいます。
これが「眼窩吹き抜け骨折」と呼ばれる理由です。
眼窩吹き抜け骨折の好発部位
眼窩の壁の中でも、骨が最も薄く壊れやすい以下の2つの部位に多く発生します。
- 眼窩下壁(床):
眼窩の一番下の部分で、上顎洞(じょうがくどう)という大きな副鼻腔の上に位置しています。最も頻度が高い部位です。 - 眼窩内側壁:
鼻に最も近い内側の壁で、篩骨洞(しこつどう)という副鼻腔の横に位置しています。
眼窩吹き抜け骨折の症状
眼窩吹き抜け骨折になってしまうと、次のような症状が現れやすいです。
- 複視(物が二重に見える)
- 眼球陥没(眼が奥に引っ込む)
- 眼の周りの痛みと腫れ・皮下出血
- 知覚麻痺(しびれ)
複視(物が二重に見える)
片目で見ると問題ないのに、両目で見ると物が上下または斜めに二重に見えます。
特に上下や左右を見たときに出やすくなります。
眼球陥没(眼が奥に引っ込む)
眼球陥没とは、骨折していない側と比べて、眼球が眼窩の奥に引っ込んでいるように見える症状です。
眼の周りの痛みと腫れ・皮下出血
眼窩吹き抜け骨折になった場合、骨折部位やその周辺に強い痛み、腫れが生じます。
また、目の周り(まぶたなど)に青紫色のアザ(皮下出血)が見られます。
知覚麻痺(しびれ)
頬、鼻の脇、上唇、歯茎などの顔面の一部の皮膚がしびれたり、感覚が鈍くなったりする方もいらっしゃいます。
眼窩吹き抜け骨折の治療
眼窩吹き抜け骨折となった場合、まずは検査を行い、症状の度合いによって保存的治療、もしくは手術による治療のいずれかが選択されます。
骨折が小さい場合は保存的治療
骨折した部分が小さく、次のようなケースの場合は経過観察を中心とした保存的治療が行われます。
- 複視や眼球運動障害がない
- 眼球の位置が正常(眼球陥凹がない)
- 骨折範囲が小さい
【治療内容の例】
- 安静
- 抗生物質の投与(副鼻腔感染の予防)
- 経過観察(必要に応じてCTで再評価)
症状が強い場合は手術治療が必要
以下のような場合には、外科的治療(手術)が必要になります。
- 複視や眼球運動障害が持続している
- 眼球が明らかに陥没している
- 骨折範囲が広く、眼球や脂肪が落ち込んでいる
【手術の方法】
- 主にまぶたの裏側や下側の皮膚を切開し、眼窩の内部に到達する
- 陥没した組織を眼窩内に引き戻した後、人工材料(チタンプレート、吸収性プレートなど)や自身の骨などを利用し、欠損した眼窩の壁を再建・補強する
眼窩吹き抜け骨折の診断・治療ならオキュロフェイシャルクリニック東京へ
眼形成手術を専門とするオキュロフェイシャルクリニック東京では、これまで眼窩服抜け骨折の患者様が、骨折前と同じようにくらしていただくためのお手伝いを数多くさせていただいてまいりました。
当クリニックで実際に治療をさせていただいた患者様の症例を、手術前後の写真とともにご紹介します。
ご紹介する症例の患者様は、左眼(向かって右側)の内壁と下壁の骨折が確認できました。
眼窩(骨で作っているスペース)が広がり、外眼筋(眼を動かす目の周りの筋肉)の位置もずれてしまっています。

当クリニックで手術をさせていただいた後は正常な右眼と同じ眼窩の広がりとなり、筋肉の位置も正常になっています。
薄く「く」の字に見えるのがフィクソーブというプレート、その下に敷いてある目立つ白い直線の板が、底上げのためのアパセラムというプレートになります。
まとめ
眼窩吹き抜け骨折は、目に対して正面から受けた力が原因で骨の薄い部分が折れてしまい、吹き抜けるような空洞ができて眼窩脂肪などの組織が流れ出てしまう骨折です。
骨折した箇所が小さい場合は抗生物質の投与や経過観察といった保存的処置が行われることもありますが、症状が強い場合は手術が必要となります。
オキュロフェイシャルクリニック東京は、眼形成手術専門クリニックとして、これまで数多くの眼窩吹き抜け骨折の治療をしてまいりました。
また、直接ご来院される患者様はもちろん、大学病院といった他の病院からの紹介でご来院される患者様も多く、眼窩吹き抜け骨折も含む全ての手術件数が年間1万件以上(2024年、5院合計)と、豊富な治療がございます。
目に衝撃が加わり、何かしらの症状が残って不安を抱えていらっしゃる方は、まずはお気軽にオキュロフェイシャル東京までご相談ください。
これまで積み重ねてきた知識と経験によって丁寧に診察をさせていただき、実績に基づく医療技術で治療をさせていただきます。
監修者情報
オキュロフェイシャル
クリニックグループ代表
鹿嶋 友敬
クリニックグループ代表 鹿嶋 友敬
経歴
- 2002年
- 群馬大医学部卒 群馬大学 眼科学教室
- 2004年
- 伊勢崎市民病院
- 2005年
- 群馬大 眼科
- 2007年
- 聖隷浜松病院 眼形成眼窩外科へ国内留学
- 2009年
- 群馬大にて眼形成外来を開設
- 2012年
- 学位取得 群馬大学眼科 助教
- 2010年
- アジア太平洋眼形成学会理事
- 2015年
- カリフォルニア大学 ロサンゼルス校へ留学
- 2017年
- 新前橋かしま眼科形成外科 クリニック 開院
- 2018年
- オキュロフェイシャルクリニック 東京 開院
- 2019年
- The NewYork Times特別企画「Next Era Leaders 2019」選出
- 2020年
- アメリカ眼形成学会(ASOPRS)会員
資格・所属学会
- 日本眼科学会
- 眼科手術学会
- 臨床眼科学会
- 涙道涙液学会
- 眼瞼義眼床研究会
- 甲状腺学会
- 眼窩疾患シンポジウム
- 眼形成再建外科学会