公開日:2019.02.18
手術の完成度
手術の完成度
手術はかならず成功するものではありません。
患者さんご自身は自分の身体を任せるわけですから
成功するかどうか心配になるのは当然だと思います。
しかし医師側から言えば、100%の完成度というものは存在しません。
例えると毎回テストを受けているようなもので
どんな優等生でも100点を取り続けることは出来ません。
まさにテストと一緒で、他の人より沢山テストを受けて受けて復習を毎回何度も行うと
徐々に成績が上がっていく、のと同じようなものです。
我々は2018年の実績で3000眼以上手術を行いました。
これは内眼手術やレーザー、注射を含めない手術の実数ですから
相当数の手術件数であるのはご理解いただけると思います。
名だたる大学病院の眼科の手術件数よりも相当に多い数字です。
それが一部だけに特化しているのですから、潜在的な需要の多さに気付くと思います。
それだけの数を行っているので
もちろん平均点は普通よりそれなりに高く取れている筈です。
ただその平均点を上げる努力をすることは出来ても
その中には低い点数も、高い点数もある中でのことになりますから
どうしても低い点数の場合が出てきてしまいます。
低い点数でも落第しなければ良いや、という方もいれば
もっと高い点数でなければ嫌だ、という方もいらっしゃいます。
低い点数であっても再試験(=つまり再手術)出来る状態であれば
それをすれば今度は平均以上になる確率はそれなりに高いわけですから
再手術をお勧めするのですが、
問題は、それが機能面での不具合であれば保険で追加治療が出来るけれども
美容面(見た目)の問題であれば一切保険での追加治療は出来ない、ということなのです。
機能面というのは眼瞼下垂による視野狭窄や、バセドウによる眼球突出、眼窩骨折による眼球陥凹のようなことで
美容面というのは二重まぶたのラインが気になる、平行型の二重にしたい、のようなことです。
バセドウ病の場合には病気で見た目が変化しているので土台が病気ですから
機能の改善を主に、出来るだけ美容面にも配慮して行わせていただいています。
眼瞼下垂や一重まぶたの眼瞼形状については保険では修正できないので、
気になる方は最初から自費での治療をお勧めさせていただいております。
あと、他院の美容外科での手術後の合併症についても保険での修正は出来ません。
これは全国同じルールの筈ですので、ご留意ください。
2018年手術実績 3046件
群馬大学 眼科 非常勤講師
涙道涙液学会 理事
オキュロフェイシャルクリニック東京 中央区銀座1丁目ビル8F
03-5579-9995
https://www.oc-tokyo.com/wp/
バセドウ病眼症に悩んでいる方はどうぞ
「1時間で分かる 甲状腺眼症入門パンフレット」
https://oculofacial.page.link/pamphlet
kindle版
https://www.amazon.co.jp/dp/B07MS9HNSH/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_NJ8pCbV9B21VS
詳しくみる
公開日:2019.02.15
患者さんたちのご家族の反応
患者さんが当院を受診されるとき、親御さんや配偶者、お子さんが付き添うことがあります。
当院を訪れる患者さんはどこでも治してくれるような病気ではなく、他の医療機関で治してもらえず、困りに困って当院をネット検索して受診するので、大抵ご本人は手術に前向きなのですがご家族はそれぞれ立場が違います。
付き添いがお子さんの場合。
これはもう全く心配していないですし、
完全に無関心か、むしろどう変化するのか楽しみにしている場合もあります。
配偶者の場合。
この場合には患者さんの悩みを共有しているのでそもそもご本人と同じく手術に前向きであることが多いです。
ただ患者さんの身体をすごく心配しているので手術に関する質問はとても多く、しかも多岐にわたる印象があります。
でも全てに答えると信頼して任せてくれるように感じます。
逆に付き添いが親御さんの場合には、多くの場合反対します。
お子さんが手術を受けるとなると、やはり手術のリスクが心配になるのでしょうね。
患者さん本人が、ご本人の状態を本当に嫌になってしまってうつ状態のようになっていることも多いのですが、それでも親御さんは反対することが多いです。
そんな時に親御さんに伝えるのですが、
・患者さん本人がどれだけ心にダメージを負っているか
・毎日鏡を見るたびに自分自身が嫌いになっていくことがどれだけつらいのか
・外出のときに人目を避けて髪を下ろして眼鏡とマスクをつけたり、むしろ外出自体を控えるになったりすることが生活の質をどれだけ落としているのか。
そんなことを親御さんに話をすると、それを聞いている患者さんが涙することも多いです。
先日は1日で3人ほど涙を流されていました。
僕らのもとにはそんな患者さんたちが多くいらっしゃるので、誰にも分ってもらえない悩みを理解することが出来ます。
バセドウ病、眼窩骨折、眼窩腫瘍など専門家のほとんどいない疾患でお悩みの方は是非ご相談ください。
治せる病気があるかもしれません。
2018年手術実績 3046件
群馬大学 眼科 非常勤講師
涙道涙液学会 理事
オキュロフェイシャルクリニック東京 中央区銀座1丁目ビル8F
03-5579-9995
https://www.oc-tokyo.com/wp/
バセドウ病眼症に悩んでいる方はどうぞ
「1時間で分かる 甲状腺眼症入門パンフレット」
https://oculofacial.page.link/pamphlet
kindle版
https://www.amazon.co.jp/dp/B07MS9HNSH/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_NJ8pCbV9B21VS
詳しくみる
公開日:2019.02.15
患者さんたちのご家族の反応
患者さんが当院を受診されるとき、親御さんや配偶者、お子さんが付き添うことがあります。
当院を訪れる患者さんはどこでも治してくれるような病気ではなく、他の医療機関で治してもらえず、困りに困って当院をネット検索して受診するので、大抵ご本人は手術に前向きなのですがご家族はそれぞれ立場が違います。
付き添いがお子さんの場合。
これはもう全く心配していないですし、
完全に無関心か、むしろどう変化するのか楽しみにしている場合もあります。
配偶者の場合。
この場合には患者さんの悩みを共有しているのでそもそもご本人と同じく手術に前向きであることが多いです。
ただ患者さんの身体をすごく心配しているので手術に関する質問はとても多く、しかも多岐にわたる印象があります。
でも全てに答えると信頼して任せてくれるように感じます。
逆に付き添いが親御さんの場合には、多くの場合反対します。
お子さんが手術を受けるとなると、やはり手術のリスクが心配になるのでしょうね。
患者さん本人が、ご本人の状態を本当に嫌になってしまってうつ状態のようになっていることも多いのですが、それでも親御さんは反対することが多いです。
そんな時に親御さんに伝えるのですが、
・患者さん本人がどれだけ心にダメージを負っているか
・毎日鏡を見るたびに自分自身が嫌いになっていくことがどれだけつらいのか
・外出のときに人目を避けて髪を下ろして眼鏡とマスクをつけたり、むしろ外出自体を控えるになったりすることが生活の質をどれだけ落としているのか。
そんなことを親御さんに話をすると、それを聞いている患者さんが涙することも多いです。
先日は1日で3人ほど涙を流されていました。
僕らのもとにはそんな患者さんたちが多くいらっしゃるので、誰にも分ってもらえない悩みを理解することが出来ます。
バセドウ病、眼窩骨折、眼窩腫瘍など専門家のほとんどいない疾患でお悩みの方は是非ご相談ください。
治せる病気があるかもしれません。
2018年手術実績 3046件
群馬大学 眼科 非常勤講師
涙道涙液学会 理事
オキュロフェイシャルクリニック東京 中央区銀座1丁目ビル8F
03-5579-9995
https://www.oc-tokyo.com/wp/
バセドウ病眼症に悩んでいる方はどうぞ
「1時間で分かる 甲状腺眼症入門パンフレット」
https://oculofacial.page.link/pamphlet
kindle版
https://www.amazon.co.jp/dp/B07MS9HNSH/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_NJ8pCbV9B21VS
詳しくみる
公開日:2019.02.07
最終更新日: 2023.12.28
へこんだ眼(眼球陥凹)への治療~眼窩骨折整復術
へこんだ眼(眼球陥凹)への治療「眼窩骨折整復術」
いままでのブログでお示しした通りバセドウ病眼症による眼球突出への治療は、おそらく日本でダントツに手術をやっています。最近は遠方からもいらしていただき、先ほども九州からお問い合わせをいただきました。
凹ませるのは得意、では逆はどうか。実は眼球陥凹に対しての治療も得意にしています。眼窩骨折は骨の減圧術とは逆に、外傷(ケガ)によって目の周りの骨が折れて、眼球が凹んでしまった状態を指します。
「眼球陥凹(がんきゅうかんおう)」とは?
「眼球陥凹(がんきゅうかんおう)」と読み、「陥凹」とは、へこんだ状態やくぼんだ状態を示す医学用語です。つまり、眼球陥凹とは、目がへこんだ状態やくぼんだ状態を指します。
外傷はなんでもあり得るのですが、殴り合いの喧嘩、体育のマット運動で自分の膝があたったり、スポーツで競り合ったときに他人の肘や頭が当たったり、野球のフライを取ろうとしてボールが目に当たったり…
多種多様な理由で眼窩骨折が起きるのですが、問題はしっかりと治せるドクターが少ないことです。眼窩の手術を集中して経験できるような施設はほとんど存在しないため、経験が蓄積されないままになってしまうのです。
眼窩骨折の原因について
これらの原因は目に衝撃を受けたために、眼の周囲の奥の方の骨が折れて、眼の奥の筋肉や脂肪などの組織が移動してしまうことです。これは押し入れに綺麗に布団が入っている状態に例えると、眼窩骨折では襖が倒れ布団が外に飛び出している状態と言えます。
その時に筋肉が引っ張られればダブって見える症状になり、脂肪などの目の後ろの組織が脱出すれば目が凹んで、小さくなってしまいます。これが眼窩骨折の主たる症状です。
また亀裂骨折が起き、その部位に組織が挟まれると閉鎖型骨折という状態になり、血のめぐりが悪くなって組織が壊死を起こしてしまうため早期の手術が必要になります。
眼窩の組織を元の位置に戻すことが大事
押し入れの中にある布団で例えると
1.正常時
2.綺麗に整頓されている
3.布団が外へ飛び出す
4.眼窩骨折の状態
5.眼窩骨折の治療
ドクターが勘違いしがちなのですが、眼窩骨折で大事なことは骨を治すこと、ではありません。眼窩の組織(内容物)を元の位置に戻すことが大事なのです。
よくある手術での間違いとして骨の代わりになる人工のプレートを折れた骨の上に置いてくるだけというものがあります。これだと何も戻せていないので手術をやった意味がありません。骨を治すためにプレートを入れる、ということを条件反射のように行うと何一つ改善の無い状態になってしまうのです。
正しく治療しないと、眼球陥凹がなかなか治らない場合も
また折れた骨から脱出した眼窩脂肪も適切に元に戻す必要があります。骨は綺麗に治っていても脂肪をそのまま置いてきてしまったため、眼球陥凹が治らず悩んでいる方の診察をしたことがあります。
ありとあらゆる手術後の患者さんを診てきましたが、綺麗に治せているなあと思ったのは一握りでした。
(みんな、問題あるから来院するので当然なのですが)
実際の眼球陥凹(がんきゅうかんおう)の治療症例
約20歳女性・転落事故
自宅マンション5階から転落、顔面多発骨折にてB大学病院形成外科で整復手術。半年後に眼窩骨折整復術と下眼瞼の陥凹に対して脂肪移植を施行しています。
左眼球陥凹が治らず浜松のC病院、群馬県のD病院を受診するが手術を断られ、最終的にD病院から当院へ紹介受診となりました。
B大学病院で2回手術をされていますが、左眼の重度の眼球陥凹が残存しており、左右非対称の顔貌となってしまっています。また下眼瞼へなぜか脂肪移植されているためこれも左右差を助長する原因となっています。
CTでは再建手術を2回されているものの、骨壁を治すことが出来ていないため、眼窩の断面積が縮小していません。これが眼球陥凹の大きな原因でした。
手術は白目(結膜)の切開から行ったため、皮膚に傷は残っていません。人工骨で足場を作り、その上にプレートが乗せました。
術後のCTを見ると眼窩の断面積が正常である右に近づいているのが分かります。
へこみ目、くぼみ目の治療症例
人工のプレートを挿入した症例
術前
眼球陥凹があり、わずかだが上眼瞼に影が出来ており、眉毛よりまぶたが凹んでいる。
術後
まぶたが膨らみ、影が無くなり、眉毛よりまぶたが突出している。
ヒアルロン酸を注入した症例
術前
上眼瞼がくぼみ、影が出来て眉毛の位置よりも眼球が後ろにあることが分かる。
術後
眼球が突出して影が消失し、眉毛の位置と眼球の位置がほぼ同じになっている。
治療料金の目安
3割負担1割負担
眼窩(がんか)骨折整復術
約90,000円もしくは高額医療費にて計算ー
プレート挿入(両目)
¥1,056,000
ヒアルロン酸注入
¥249,700
上記の金額はすべて税込表示です。
まずはお気軽にご相談ください
眼形成手術の研修を最初に受けた聖隷浜松病院・眼形成眼窩外科では非常に多くの眼窩骨折を短期間に集中して手術させていただきました。そのおかげで眼窩骨折の手術はある程度安定した結果を出すことが出来るようになりました。
いままでに眼窩骨折がきれいに治らず、眼球陥凹が出てしまった方をたくさん見てきました。眼窩骨折による眼球陥凹で悩んでいる場合には是非ご相談ください。
改善できるかもしれません
このように他院手術後であったとしても改善させることは可能かもしれません。眼球陥凹の後遺症に悩まれている方がいらっしゃったら、是非一度ご相談ください。
お電話はこちらから
詳しくみる
公開日:2019.02.04
最終更新日: 2024.04.10
全身麻酔手術のリスクを
正しく理解していますか?
全身麻酔手術にもリスクはある
手術や麻酔は、気を付けていたら必ず安全に終わる、というものではありません。
例えば全身麻酔を行って、その間に死んでしまう可能性もあるため、全身麻酔の前に常に患者さんに説明をさせていただいています。全身麻酔を怖がる方もいますし、お子さんが手術必要であった場合に親御さんが躊躇する場合もあります。
麻酔科学会の調査によると、100万人に1人と低い確率
ただ麻酔をかけたことに起因する死亡率は麻酔科学会の調査によると全身が健康であれば100万人に1人しかありません。高血圧などの軽度の全身異常がある場合は100万人に6人です。
宝くじの場合は、10万人に1人の確率
宝くじで1000万当たった人は少ないと思いますが、それでも10万人に1人だそうです。
全身麻酔で死ぬ確率がいかに低いかがお分かりだと思います。
ちなみに1億円の宝くじは500万人に1人。東京ドーム満杯を100回くらいしてその中の1人だけしか当たらないようです。
交通事故の場合は、10万人に2.79人の確率
これに対して2018年の交通事故死亡者数3532人、人口10万人あたり2.79人だったようです。
これは年間の数字ですから、一生でどのくらいのリスクなのでしょうか。
現在の平均寿命は84.2歳(2016年)ですから、2.79×84.2とすると235人となります。
つまり人口10万人あたり235人が交通事故で死ぬのです。1万人あたり23.5人、1000人あたり2.35人、426人に1人が一生のうちで交通事故死するということです。かなり多い人数だと思いませんか??そして、このリスクをどれくらいの人が認識しているのでしょうか?
全身麻酔でそのまま死んでしまう確率は?
全身麻酔で死んでしまう確率はかなり少ないと言えます
全身麻酔で死んでしまう確率はかなり少なく、交通事故死の可能性の2000分の1程度だということになります。
飛行機に乗ると、墜落が怖い、という方もいらっしゃると思います。それでも海外に行きたいときはどうしても飛行機に乗らないといけませんよね。航空機事故の事故死率はなんと470万分の1だそうです。
全身麻酔は、過度に怖がる必要がないということがお分かりいただけたでしょうか??
詳しくみる
公開日:2019.01.27
最終更新日: 2024.03.15
写真 バセドウ病眼症への眼窩減圧術の前後の変化
バセドウ病眼症への眼窩減圧術の前後の変化
30代女性のバセドウ病眼症の眼球突出に対して減圧手術を行いました。
その前後の顔写真をご本人のご了解を得て公開させていただきます。
減圧術前後の顔つきの変化
手術前のお顔を見るとバセドウ病眼症によって上のまぶただけでなく、下のまぶたにもふくらみが出ています。
これはバセドウ病眼症によって眼窩脂肪が増生しているからです。
減圧手術で眼球後方の脂肪を切除すると、上のまぶたも下のまぶたもスッキリすることが分かります。
特に下の斜めからの写真の左眼(奥の方の眼)を見ると、
上のまぶたのふくらみがなくなり、スッキリしたまぶたになっているのがわかります。
2018年に我々は2院合わせて計360眼以上の眼窩減圧術を行いました。
これだけの数をさせていただいているので最近は手術の合併症も少しずつ少なくなっていると感じています。
手術にはリスクがつきものですが、顔つきが変化してしまって困っている方には手術をお勧めいたします。
下
記に同意書の文面を記載させていただきます。
人生を取り戻しましょう!
Restore your life!
説明同意文書
眼窩減圧手術を受けられる
患者さん、ご家族のみなさまへ
この説明書は、眼窩減圧手術について説明したものです。わからないことがありましたら、担当医にお尋ねください。治療を受けられる場合は「同意書」に署名をお願いいたします。
1.あなたの病名と現在わかっていること、病態
・ 眼球突出(甲状腺眼症)
・ 甲状腺に関連した自己免疫疾患です。
・ 甲状腺に関係した抗体が眼球の周りにある脂肪や眼球を動かす筋肉の中に存在し、それが標的となって炎症が起こり、増生します。それによりまぶたの腫れ、赤み、白眼の充血、角膜の傷、眼の奥の痛みや重さ、眼がでてきたり(眼球突出)まぶたが開いたり(眼瞼結膜の後退)し、瞬きが少なく目つきが鋭くきつくなるように見えます。筋肉、脂肪の炎症、腫れにより眼圧上昇や視力低下、2重にみえることもあります。バセドウ病の方の約50%~60%に甲状腺眼症が生じます。甲状腺機能亢進症でも低下症でも甲状腺機能が正常でもおこります。
・ 筋肉や脂肪が増生し眼球突出が起こったり、神経が圧迫されて視力低下が起こったりします。症状は発症から半年程度経過すると固定化し自然には治りません。
眼窩部の解剖図
2.この治療の目的・必要性・有効性
・ 高度の視力低下や眼球突出に対して、眼の周囲の骨(眼窩)を削り、眼の奥の脂肪を切除することで肥大した筋肉や脂肪が入るスペースを拡大する手術です、
・ この治療をすることにより眼球を陥凹させ、眼球突出により鋭くきつくなった目つきを改善し、白めの充血、角膜の傷を改善させます。
・ どの程度効果があるかは患者さんの状態により個人差があります。
3.この治療の内容と性格および注意事項
・ 全身麻酔で行います。
・ 下まぶたや目頭などの結膜や、上眼瞼・下眼瞼の皮膚を切開し、目の奥の骨や脂肪組織を切除します。
・ 術後1週間、軟膏を使用してもらいます。術翌日からシャワー浴・洗顔・洗髪は可能です。創部に汚れがたまると不潔になりますので、毎日軽く洗い流すようにしてください。ただしまだ癒着していませんので強くこすることはおやめください。3日後からは入浴が可能です。約1週間で創部の化粧は可能です。術後には顔貌が大きく変化する場合があります。また術後に腫れますので創部が醜く見える可能性がありますが、完全に腫れが消退し、完成した状態になるためには6か月が必要です。
・ 手術後眼帯をし、その上から冷却が必要です。
・ 当院ではチームとしての医療を行っており、厳格な基準を経た指導のもとに手術を行っていますが、通常の保険診療の場合には手術を担当する医師は指定することはできません。担当医を指名する場合には自由診療での手術になります。
4.この治療に伴う危険性とその発生率
・ 手術により創部に内出血が起こります。内出血は最初赤いアザのようになっていますが、黄色く変色し重力に伴って皮下を下方に移動しながら約3週間で消退します。腫れの消退は最初の2週間でほぼ程度改善します。完全な消退には約半年かかります。創部に血腫ができた場合は除去手術が必要です。
・ 手術後には眼球運動障害が出現し2重に見えます。翌日にはほとんど消失していることが多いですが、残存することもあります。
・ 複視が残存した場合には、3から6か月で徐々に改善しますが、脂肪切除のみでは3%、外側壁では3-6%、内側壁では10-65%で複視が残存するとされています。その場合には、斜視手術が必要になることもあります。当院の脂肪減圧のデータでは正面複視は0%、斜視手術が必要になった方はいません。
・ 意図的に眼球を陥凹させる手術ですので、まぶたが凹むなど、顔貌が変化します。目標を日本人の平均値15㎜に設定しますが、顔貌の変化に伴って二重のラインの形状や、下まぶたの腫れ方が変化します。人によってはバセドウ病発症前よりも凹んでしまったと感じることもあります。
・ 術後、瞳が広がったり、近くが見づらくなったりすることがありますが、半年程度で徐々に改善します。
・ 眼に関わる重要な神経やこれを栄養する血管に障害が起こると失明に至るような視力・視野障害が出ることがあります。発生率は1.2%です。
・ 脳に近い場所の手術を行うため、感染症などをきたすと重篤な状態になる可能性があります。
・ 手術を誘引として甲状腺クリーゼという死に至る病気が発症する可能性があると指摘されています。発症率は入院患者50万人に1人、致死率10%であり、500万人に1人です。
・ 術後徐々に傷痕は目立たなくなりますが傷痕が目立ったり、ケロイドになったりすることがあります。術後に傷が離解した場合は再度縫合処置が必要です。感染などで眼窩蜂巣炎になることがあります。
5.偶発症発生時の対応
万が一,偶発症が起きた場合には最善の処置を行います。なお,その際の医療は通常の保険診療となります。
6.代替可能な治療
・ これに代わる治療はありません。
7. 治療を行った場合に予想される経過
・ 術後、さらに眼球陥凹を得たい場合に、今回の手術とほかの部位の減圧術を行うことがあります。眼瞼後退や眼瞼下垂、複視、斜視に対する手術など外科的治療が必要な場合があります。角膜びらんなどの症状がある場合は点眼の治療が必要です。
・ 一度炎症が落ち着いた眼症も15%で再発します。その場合はステロイド治療などを必要とする場合があります。甲状腺の数値が安定している方やむしろ低下している方でも眼症は悪化することがあります。甲状腺の数値が安定しているからといって眼を放置するとひどく悪化することがあります。
・ 喫煙や放射線ヨード内用療法が悪化につながるため、禁煙が絶対必要です。またストレス、寝不足が悪化を招きます。十分な睡眠を心掛けて下さい。
8.何も治療を行わなかった場合に予想される経過
・ 自然には治りませんので、視力低下や結膜充血や残存します。顔貌の変化が気になっている場合には、うつ状態になってしまう方もいらっしゃいますし、きつい目つきに見られることで社会的不利になることなどが考えられます。
9.患者さんの具体的な希望
治療に関して何かご要望があればお伝えください
10.治療の同意を撤回する場合
いったん同意書を提出しても,治療が開始されるまでは,本治療を受けることをやめることができます。やめる場合にはその旨を下記まで連絡してください。
11.連絡先
本治療について質問がある場合や,治療を受けた後緊急の事態が発生した場合には,下記まで連絡してください。
【連絡先】
住所:前橋市古市町180-1
病院:新前橋かしま眼科形成外科クリニック
電話:027-288-0224、080-3401-9510
説 明 日: 年 月 日
説明医師: 鹿嶋友敬
* 説明同意文書は電子カルテにスキャンしてください。
同 意 文 書
病院長 殿
私は, 眼窩減圧 手術 を受けるにあたり,下記の医師から,説明文書に記載されたすべての事項について説明を受け,その内容を十分に理解しました。また,私は,この検査(治療)を受けるかどうか検討するにあたり,そのための時間も十分に与えられました。以上のもとで,自由な意思に基づき,この治療・検査を受けることに同意します。
なお,説明文書とこの同意文書の写しを受け取りました。
□ 病名・病態
□ 治療の目的・必要性・有効性
□ 治療の内容と性格および注意事項
□ 治療に伴う危険性とその発生率
□ 偶発症発生時の対応
□ 代替可能な治療およびそれに伴う危険性とその発生率
□ 治療を行った場合の予測される中長期的経過・予後
□ 治療を行わなかった場合に予想される経過
□ 患者さんの具体的希望
□ 治療の同意撤回
□ 連絡先
【説明】
説明年月日:平成 年 月 日
説明した医師:
同席者 :
【同意】
同意年月日:平成 年 月 日
同意者(本人):
*患者さんに判断能力がない場合にのみ,代諾者が,自筆署名,もしくは記名押印してください。
(代諾者): (患者さんとの関係: )
立会人: (患者さんとの関係: )
バセドウ病眼症への治療についての動画
2019年11月10日のバセドウ病眼症講演会の内容はこちら
OurAgeに特集していただきました
こちらから
バセドウ病眼症に悩んでいる方はどうぞ
「1時間で分かる甲状腺眼症入門パンフレット」
こちらから
現物
こちらから
kindle版
こちらから
詳しくみる