公開日:2019.07.26
他院手術後の再手術 難治な方々②
症例1 50歳前後男性
A大学病院の美容外科で
皮膚からの脂肪移動術(表ハムラ法)したものの改善なく
有名なB美容外科で結膜から脂肪切除
さらに皮膚切開からの脂肪切除
再度結膜からの脂肪切除
と計4回美容外科での手術を施行された方です。
最後にB美容外科で行った手術では
瘢痕のためほんのわずかな量の脂肪(小豆大と言われたそうです)
しか切除できなかったとのことでした。
どうにか改善したいと悩まれて受診しました。
明らかに大きな脂肪の突出があり
下眼瞼も上眼瞼も膨らんでいました。
この症例の場合、表面の脂肪だけが問題なのではなく
その奥の脂肪も問題なのです。
このためバセドウの方の減圧に準じて眼窩深部の脂肪減圧手術を行いました。
今までに数回の手術を繰り返していますので
入り口は瘢痕でガチガチでしたが
思った通りその後ろ(眼窩深部)の脂肪は操作されていませんでしたので
比較的簡単に切除することが出来ました。
術前後の写真を提示いたします。
このように、表に出ている病態のみを診るのではなく、大きく診ることが大切です。
「木を見て、森を見ず」ということでは、うまく治すことが出来ないのです。
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2018年手術実績 3046件
群馬大学 眼科 非常勤講師
涙道涙液学会 理事
オキュロフェイシャルクリニック東京 中央区銀座1丁目ビル8F
03-5579-9995
https://www.oc-tokyo.com/wp/
新前橋かしま眼科形成外科クリニック 前橋市古市町180-1
027-288-0224
http://www.kashima-oc.com/
バセドウ病眼症に悩んでいる方はどうぞ
「1時間で分かる 甲状腺眼症入門パンフレット」
https://oculofacial.page.link/pamphlet
kindle版
https://www.amazon.co.jp/dp/B07MS9HNSH/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_NJ8pCbV9B21VS
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公開日:2019.07.24
他院手術後の再手術 難治な方々①
開院からある程度の時間が経過し徐々に皆さんに知っていただくことが出来てきました。
当院に来られる患者さんは、残念ながら他院で治療を受けたが治っていないか、治療を断られた患者さんが多く来られます。
当院は眼形成という目の周りの眼瞼や眼窩を専門にしており、そこだけに特化して年間3000件以上という数多くの手術を手掛けて参りました。この数は、国内でも世界でも比類ない数であると思います。
その経験を活かし、他院で行った手術でこれ以上治らないと思われた患者さんであったとしても、当院で何か改善できる場合があります。
https://ameblo.jp/kashitomo52/entry-12486920451.html
美容外科や形成外科などは眼形成に特化していませんから、眼瞼の表面の手術は行っていますが、眼窩などの本当に深いところ、視力や眼球運動に影響が出る可能性のある部位については手を出せないのが実情なのです。
しかし眼瞼の形状はその奥にある眼窩と密接に関連しています。このため眼瞼の異常に見えても、本当は眼窩を治さないといけない場合があるのです。
また一見単純な状態に見えるものでも、視野を大きく広げてみると単純ではない病態もあります。
そのような場合には大きな領域の手術をすることが根治への近道になるのです。
このような症例を踏まえ、今回のシリーズでは他院で手術をしたけれども上手く治らなかったとのことで来院した症例を、何人かお示ししたいと思います。
※これらの症例は、容姿の改善や美容外科手術後の合併症に対する治療となるため、100%自費治療となります。
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公開日:2019.07.22
手術後に目が動かない眼窩骨折④
手術後に目が動かない眼窩骨折④
その難問とは、、、
以前も書きましたが、分厚い瘢痕組織がすでに出来上がってしまっていたのです。
一般の方々は瘢痕がどんなものか分からないと思います。
例えて言うならボンドのようなものです。
まさに接着剤のようなもの。
時間が経てばそれは白く硬い組織に変わっていきますが
2週間の時点ではボンド程度の硬さです。
骨片を除去した後でしなければならないことはそのボンドのような瘢痕組織を除去することでした。
骨が接触していた部分はすべて瘢痕に置き換わっています。
これまでの経験から瘢痕を除去しなければ眼球運動は戻らないということを知っていたため
目に見える瘢痕組織をすべて除去することにしました。
これが大変で。。。
手術で見える範囲(術野という)を広げていますが
例えて言うならズボンに手を突っ込んだだけのような視野しかありません。
そのなかでまき散らされたボンドのような瘢痕をすこしずつ切除していくのです。
少しずつ、少しずつ。
一番大事なのは下直筋の周囲の瘢痕がすべて除去されていることです。
下直筋の周辺を特に念入りに剥がしていきます。
瘢痕を切除すると、それまで動かなかった眼球が動くようになりました。
(Forced duction testによる)
ここまで来て初めて手術を終えることが出来たのです。
しかし。
術中にはかなり動くようになった実感がありましたが
術後2週間で来院されたときには眼球運動の改善はありませんでした。
あれだけ瘢痕を除去しても、眼球運動障害が治らない。
実は今までの経験上、眼窩組織が瘢痕化した症例で
眼球運動が正常化もしくは改善した症例を知りません。
間違った手術で眼窩を傷めてしまうと、もう元には戻れなくなってしまうのです。
今後、テクニックの発達で治せるようになるのかもしれませんが
現状では治すことが出来ない。
となると一番の予防策は瘢痕を作らないこと。
つまり、きちんと眼窩を理解しているドクターのところで
きちんとした初回手術を受ける
ということに尽きるのです。
最後に。
初回のバルーン手術を担当したドクターは
某大学の形成外科の元教授(!)でした。
肩書がすべてではないことがお分かりいただけたでしょうか?
例えホテルオークラの元総料理長だったとしても
フレンチから寿司からお好み焼きまで全てを高いレベルで知っているわけではないし
むしろ一つ一つを見たら、銀座のそれぞれの専門店より
レベルは低いに決まっているのです。
眼窩の取り扱いは、眼窩のことが分かっている医療機関へ。
これが大原則です。
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公開日:2019.07.20
手術後に目が動かない眼窩骨折③
手術後に目が動かない眼窩骨折③
来ていただいたすぐ翌日に全身麻酔での手術を組みました。
まず行ったのは上顎洞に入ったバルーンの除去。
まず前医の切開創の抜糸から。
上くちびるの裏が創部なのでその部位の抜糸をします。
眼科医ですが、口の中も手術します(笑)
そこから上顎洞の前壁にアプローチしたところ
とても小さい穴が開いており、そこからバルーンの端が見えていました。
でも、、、、
この穴の小ささを見て思ったのです。
絶対に内部の操作は出来ていない。盲目的にバルーンを膨らませただけだ。
まさに前回書いたお笑い芸人の使うバルーンを布団の前で膨らませただけの状態です。
きちんと直視して再建しているものでないのは明らかでした。
バルーンの素材は非常に柔らかく、内部の生理食塩水を抜きながら、
途中破れたり、千切れたりしましたが、なんとか全てを除去することが出来ました。
その創を閉じて、次に結膜切開から眼窩内に進入しました。
下眼瞼の裏の結膜から眼窩の下縁へ。
骨膜を切開して骨膜下に進入します。
まず折れていない部位の骨を同定するために、骨膜と骨を剥離します。
正常の範囲を見つけて、いよいよ骨の除去に入ります。
通常、眼窩骨折の場合に折れた骨は上顎洞内にあるのですが
今回は眼窩内。
まるで方向が違うのでどうなっているか慎重に剥離を進めます。
眼窩の組織はとても柔らかいので手術器具の先でなでると硬い部分に触れるのがわかりました。
眼窩の中に刺さっている骨片を見つけるのはそれほど難しい問題ではなかったのです。
骨片は見つかりました。
そしてそれを除去するのも難しくありませんでした。
でもその後にそれよりも大きな難問が待ち受けていました。
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公開日:2019.07.18
手術後に目が動かない眼窩骨折②
手術後に目が動かない眼窩骨折②
このCTを見て次にやらなければいけないことは
前医の治療内容を知ることでした。
CTから大体の状況が掴めるのですが
まだ上顎洞内にバルーンがあるように見えますし
どのようにアプローチするかの検討が必要だったためです。
そこで前医の形成外科医に電話しました。
現状がこれこれこのような状態で緊急手術が必要だと思いますが
こちらでさせていただいてもよろしいでしょうか?
またそちらではどのような手術をされましたか??
その返答は、、、、、
あーそうですか。じゃあバルーンの中の水を1cc抜いてみてください。
・・・え?下直筋に骨が刺さっていて緊急手術が必要な状態なのに??
これで決定しました。この形成外科医は眼窩骨折を何にも理解していない。
現状が如何に悪い状態か、理解しようともしない。
患者さんが手術によってむしろ不幸になっていることに気付こうともしない。
わかりました。とにかく手術が必要なので手術内容と手術前のCTを焼いて送ってください。
そう言って電話を切りました。
以前書いた通り、眼窩骨折をスペース側から治すことは出来ないのです。
なぜなら、羽毛布団で例えると、押し入れから布団が出ている状態で押し込んでもどうなるか分からないのです。
さらに言うなれば、バルーンで押し上げるということは
テレビでお笑い芸人が罰ゲームで使うような大きな風船を膨らませるようなものです。
押し入れから出ている布団の前に大きな風船を置いて
膨らませて、布団がもとに戻りますか???
そもそも布団は風船の向こうにあるのですから
まったく見えていない状態になってしまうのです。
今回の患者さんは風船を膨らませすぎて
布団ごと押し入れのふすまも一緒に押し入れに無理やり突っ込まれたような状態だったのです。。。。。
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公開日:2019.07.16
最終更新日: 2024.03.15
手術後に目が動かない眼窩骨折①
手術後に目が動かない眼窩骨折①
今回は間違った治し方をされてしまった方についてお話したいと思います。
30代の女性の方。
駅で意識消失、転倒して顔面を強打して受傷。
そのまま近所の総合病院に担ぎ込まれました。
形成外科のドクターの診察の後で、眼窩下壁骨折があるから手術が必要との診断となります。
入院して手術日が決まり、手術をしたのですが、
その直後から眼球が動きません。
手術直後だから仕方ないとの担当医の言うことを信じ
回復をまっていましたが、数日たっても1週間経っても一向に目が動くようになりません。
2週間が経過し、ご両親の勧めもあり近所の眼科へ行ったところ
「手術後にこれほど眼球が動かないのはおかしい」
診て頂いた先生からすぐに当院で診察してもらうように勧められ、
直接先生からお電話もいただき診察することになりました。
当院での眼球運動の検査では眼球が上にも下にも動かない状態。
あきらかに変で、何か悪いことが起こっているようでした。
診断には現状でのCTと、前医の手術内容が必要になります。
近隣でCTを撮ってくれる病院に依頼し、ご本人に撮影に行っていただきました。
CTを見て驚いたのが、上顎洞に入っているバルーンが眼窩の骨を押し上げているのです。
それどころかその骨が眼窩に突き刺さるようになっていていました。
よくよく見ていると眼球を動かす筋肉(下直筋)にその骨が刺さって押し上げているのです。
筋肉には運動に対して二つの重要な役割があります。
一つには収縮、もう一つは弛緩です。
腕の曲げ伸ばしを創造してもらうとわかります。
上腕二頭筋(力こぶの筋肉)で言えば
腕を曲げるときには収縮、そして腕を伸ばすときにはしっかりと緩まなければなりません。
この方の眼球運動障害が上下で強い理由は
骨が突き刺さっていることで収縮が出来ない、つまり下を向けないことと
骨が突き刺さっていることで弛緩が出来ない、つまり上を向けないことだったのです。
筋肉に骨が刺さっている。
そして手術からすでに2週間は過ぎている。
キズというのはかならず治癒する方向に進みます。
進む過程で瘢痕を作るのです。
となると眼窩に刺さった骨の周囲にはすでに瘢痕が出来ていることが疑われます。
手術が一日遅れれば、それだけ瘢痕が出来て固まってしまう。
すぐに手術したほうが良い、そう思いました。
バセドウ病眼症への治療についての動画
2019年11月10日のバセドウ病眼症講演会の内容はこちら
OurAgeに特集していただきました
こちらから
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