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眼窩減圧術の保険の論拠と
切られた経緯

眼窩減圧術の保険の論拠
と切られた経緯

眼窩減圧術の保険が査定され、切られてしまいました。
そこで、もともと議論の論拠になるものをここで書いておきます。

健康保険での手術の解説本(寺島裕夫監修『2018-2019年版診療報酬点数表・手術術式の完全解説』医学通信社)にはこのように書かれています。

K234眼窩内腫瘍摘出術(表在性)

「腫瘍が主に眼球赤道部より後方に存在する場合の術式である。」(117頁)
かつK235眼窩内腫瘍摘出術(深在性)の適応疾患に甲状腺眼症が入っています。

「甲状腺眼症で眼窩減圧を必要とするとき、本術式で行った場合は本項(K235 眼窩内腫瘍摘出(深在性))で算定する」と明記されています。

これだけ見ると、眼窩減圧は、どの術式であったとしても、K235深在性となるのではないかと思います。

しかし現実には、まず愛知で保険が切られ、東京でも保険が切られました(東京はK234に査定されました)眼窩減圧は失明や生命の危険もあるような高リスク手術です。高度な技術を持っていないと行うことが出来ない手術、
それをK234のような金額で引き受けることは出来ません。

このため東京での眼窩減圧は中止し、
K235が適応となっている群馬県で眼窩減圧を続けてきたのです。

群馬県では骨を削ることを条件とされていたので眼窩脂肪の切除+外壁の一部切除(Basin減圧)を行っていました。そんな中、日本の眼科8月号にこのような文章が載ります。
これは日本眼科学会が診療報酬の審査会に出した通達ですね。

「甲状腺眼症に対する眼窩減圧術は、眼窩内腫瘍摘出術で算定する。その場合、手術方法が前眼部から眼窩内にアプローチする場合は〈K234 眼窩内腫瘍摘出術(表在性)〉で算定し、骨を処理し眼窩先端部付近までアプローチする場合(クレーンライン法等)は〈K235 眼窩内腫瘍摘出術(深在性)〉で算定する。」

群馬県では骨を削っていますので、やはりK235に該当するのです。

しかし、数日前に群馬県の社会保険診療報酬審査会からこのような通達が届きました。

「甲状腺眼症に対する眼窩減圧術は、K234眼窩内腫瘍摘出術(表在性)でご算定願います。また骨の処理(皮膚切開をして眼窩骨の一部を外し、手術終了時に戻す)を施行していない場合には、K235眼窩内腫瘍摘出術(深在性)は算定不可です。」

これは今後K235を請求する場合には皮膚を切開し、骨を外し、元に戻す、ということをしろ、と言われているのと同義です。

僕は構いません。骨を外して戻すことも、皮膚を切開することも、

日本国内のどの眼科医よりも素早く行うことが出来ます(自信アリ)。
もともと留学前に山ほどやってたし、でも患者さんはどうですか?
皮膚を切開し、骨を外して戻すって。身体に無駄な侵襲を加えることになります。

そもそも、このブログの一番最初に書いた、「眼球赤道部より前」とか「眼球赤道部より後ろ」とか、どうでも良くなってきている?(笑)
この時点で、審査会の論拠が破綻しているんですけどね。

これは前回のブログで書いた、患者の権利を示したリスボン宣言の
「医師は、常に自らの良心に従い、また常に患者の最善の利益のために行動すべきであると同時に、それと同等の努力を患者の自律性と正義を保証するために払わねばならない。」

これに違反しています。審査会のメンバーはすべて医師ですからね。今回関わった人たちが全員、リスボン宣言に違反しています。
そして僕は既得権益の方々の憎悪を受けることが分かった上でこんな発信を続けている。それはなぜかと言えば、同じリスボン宣言にこう書いてある。
「法律、政府の措置、あるいは他のいかなる行政や慣例であろうとも、患者の権利を否定する場合には、医師はこの権利を保障ないし回復させる適切な手段を講じるべきである。」

僕は患者さんが受ける正当な権利を代弁するし、発信も続けます。実はもう1つ、大きく危惧していることがあります。

それは危険を伴う眼窩減圧術、これがK234でしか取れないとなると
今後、眼窩減圧を担う若手医師は出てこないと思います。

高リスク、低リターンの仕事なんか、誰もやろうとしません。医者も人間ですから、失明のリスクまであるような手術、誰もやらないです。僕が開業するまで、ほとんど誰もやっていなかったのが証拠です。

僕が引退した30年後は、きっと眼窩減圧は日本から消滅し、世界で最も遅れた眼形成手術を行う国になると断言します。

苦情は下記にどうぞ

 

電話だと受付の方が可哀そうなので、出来ればFAXでお願いします

支部 社会保険支払基金 東京支部
住所 豊島区南池袋2-28-10
電話番号 03-3987-6181
FAX 03-3983-3744
HP こちらから
支部 社会保険支払基金 群馬支部
住所 前橋市問屋町1-2-4
電話番号 027-252-1231
FAX 027-253-1579
HP こちらから

※続きます! 次は裏で糸を引いている人の話をします

 

 

※読んで勉強になったり、面白かったと感じたら、いいね!をお願いいたします!

 

2019年手術実績 
3850件(2019年1-12月)

経歴 群馬大学 眼科 非常勤講師
涙道涙液学会 理事
医院名 オキュロフェイシャルクリニック東京
住所 中央区銀座1丁目ビル8F
電話番号 03-5579-9995
公式サイト こちらから
MAP こちらから

バセドウ病眼症への治療
についての動画

 

 

2019年11月10日のバセドウ病眼症
講演会の内容はこちら

 

OurAgeに特集していただきました
こちらから

 

バセドウ病眼症に悩んでいる方はどうぞ

「1時間で分かる甲状腺眼症
入門パンフレット」

 
こちらから

現物

こちらから

kindle版

こちらから

 

著者情報

鹿嶋 友敬

Tomoyuki Kashima
/ MD, PhD

患者さんへのご挨拶

これまで10年以上にわたり日米通算1万件以上の手術を行って参りました。 今までに私が培ってきた専門的な知識や経験を日本でお困りの患者さんの為に提供していきたいと思っています。

経 歴

2002年 群馬大医学部卒 群馬大学
眼科学教室
2004年 伊勢崎市民病院
2005年 群馬大眼科
2007年-09年 聖隷浜松病院
眼形成眼窩外科へ国内留学
2009年 群馬大にて眼形成外来を開設
2012年 学位取得
群馬大学眼科 助教
2010年-18年 アジア太平洋眼形成学会理事
2015年-16年 カリフォルニア大学
ロサンゼルス校へ留学
2017年 新前橋かしま眼科形成外科
クリニック 開院
2018年 オキュロフェイシャルクリニック
東京 開院
2019年 The NewYork Times特別企画「Next Era Leaders 2019」選出
2020年 アメリカ眼形成学会(ASOPRS)会員

海外・国内活動

2009年 Singapore National Eye Center
2010年 アジア太平洋眼形成外科学会 北京
Invited Speaker
2011年 ヨーロッパ眼形成学会 コモ(イタリア)
2012年 世界眼科会議 アブダビ
Invited Speaker Asia ARVO 
シンガポール Invited Speaker APAO 釜山 Invited Speaker
アメリカ眼科学会 シカゴ
Invited Speaker
2013年 APAO ハイデラバード
Invited Speaker アメリカ小児眼科学会
シンガポール Invited Speaker
ヨーロッパ眼形成学会 バルセロナ
2014年 世界眼科会議 東京 Invited Speaker
アジア太平洋眼形成外科学会 デリー
アメリカ眼形成学会 シカゴ
2015年 APAO 広州 Invited Speaker
2016年 KSAS(Korea Society of Aesthetic Surgery) meeting in Seoul
ITEDS(International Thyroid
Eye Disease) meeting in
London APSOPRS &
JSOPRS joint meeting session
chair iseminer
甲状腺眼症の手術治療など講演多数。
2017年 アメリカ眼科アカデミーinstructor、
韓国眼形成学会invited speaker、
中国眼形成学会invited speaker
2018年 アジア太平洋国際学会APAO invited speaker
2019年 アジア太平洋国際学会APAO invited speaker、
ITEDS invited speaker、
OPAIC invited speaker
2021年 アジア太平洋眼形成学会 invited speaker
2022年 アジア太平洋国際学会APAO、
ヨーロッパ眼形成学会、
米国眼形成学会
2023年 アジア太平洋国際学会APAO、
ヨーロッパ眼形成学会、
米国眼形成学会、タイ眼形成学会、
UCLA解剖実習コース、
ポルトガル解剖実習コース

監修・著書

メオアイス
監修

外眼部の周術期のケアに

メオアイス
名古屋眼鏡 まぶたやその周囲の手術のあとの”腫れ”や”痛み”を防止する目的で作られた医療用商品です。

アトラス眼瞼手術
著書

責任編集者

超アトラス 眼瞼手術
全日本病院出版 眼科と形成外科のコラボレーションを目指す、意欲的なアトラスが登場! オールカラーの連続写真、詳細なシェーマでわかりやすく解説されています。

眼瞼形成手術の基本手技
著書

責任編集者

ここからスタート! 眼形成手術の基本手技
全日本病院出版 眼形成外科を目指すドクターへの入門書。手術の道具や手技を詳細に解説しています。

鹿嶋先生 公式ブログはこちら

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