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手術後に目が動かない眼窩骨折①

手術後に目が動かない眼窩骨折①

今回は間違った治し方をされてしまった方についてお話したいと思います。

30代の女性の方。
駅で意識消失、転倒して顔面を強打して受傷。

そのまま近所の総合病院に担ぎ込まれました。
形成外科のドクターの診察の後で、眼窩下壁骨折があるから手術が必要との診断となります。

入院して手術日が決まり、手術をしたのですが、
その直後から眼球が動きません。

手術直後だから仕方ないとの担当医の言うことを信じ
回復をまっていましたが、数日たっても1週間経っても一向に目が動くようになりません。

2週間が経過し、ご両親の勧めもあり近所の眼科へ行ったところ
「手術後にこれほど眼球が動かないのはおかしい」
診て頂いた先生からすぐに当院で診察してもらうように勧められ、
直接先生からお電話もいただき診察することになりました。

当院での眼球運動の検査では眼球が上にも下にも動かない状態。
あきらかに変で、何か悪いことが起こっているようでした。

診断には現状でのCTと、前医の手術内容が必要になります。
近隣でCTを撮ってくれる病院に依頼し、ご本人に撮影に行っていただきました。

CTを見て驚いたのが、上顎洞に入っているバルーンが眼窩の骨を押し上げているのです。
それどころかその骨が眼窩に突き刺さるようになっていていました。
よくよく見ていると眼球を動かす筋肉(下直筋)にその骨が刺さって押し上げているのです。

筋肉には運動に対して二つの重要な役割があります。
一つには収縮、もう一つは弛緩です。

腕の曲げ伸ばしを創造してもらうとわかります。
上腕二頭筋(力こぶの筋肉)で言えば
腕を曲げるときには収縮、そして腕を伸ばすときにはしっかりと緩まなければなりません。

この方の眼球運動障害が上下で強い理由は
骨が突き刺さっていることで収縮が出来ない、つまり下を向けないことと
骨が突き刺さっていることで弛緩が出来ない、つまり上を向けないことだったのです。

筋肉に骨が刺さっている。
そして手術からすでに2週間は過ぎている。

キズというのはかならず治癒する方向に進みます。
進む過程で瘢痕を作るのです。

となると眼窩に刺さった骨の周囲にはすでに瘢痕が出来ていることが疑われます。
手術が一日遅れれば、それだけ瘢痕が出来て固まってしまう。
すぐに手術したほうが良い、そう思いました。

バセドウ病眼症への治療
についての動画

 

 

2019年11月10日のバセドウ病眼症
講演会の内容はこちら

OurAgeに特集していただきました
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バセドウ病眼症に悩んでいる方はどうぞ

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著者情報

鹿嶋 友敬

Tomoyuki Kashima
/ MD, PhD

患者さんへのご挨拶

これまで10年以上にわたり日米通算1万件以上の手術を行って参りました。 今までに私が培ってきた専門的な知識や経験を日本でお困りの患者さんの為に提供していきたいと思っています。

経 歴

2002年 群馬大医学部卒 群馬大学
眼科学教室
2004年 伊勢崎市民病院
2005年 群馬大眼科
2007年-09年 聖隷浜松病院
眼形成眼窩外科へ国内留学
2009年 群馬大にて眼形成外来を開設
2012年 学位取得
群馬大学眼科 助教
2010年-18年 アジア太平洋眼形成学会理事
2015年-16年 カリフォルニア大学
ロサンゼルス校へ留学
2017年 新前橋かしま眼科形成外科
クリニック 開院
2018年 オキュロフェイシャルクリニック
東京 開院
2019年 The NewYork Times特別企画「Next Era Leaders 2019」選出
2020年 アメリカ眼形成学会(ASOPRS)会員

海外・国内活動

2009年 Singapore National Eye Center
2010年 アジア太平洋眼形成外科学会 北京
Invited Speaker
2011年 ヨーロッパ眼形成学会 コモ(イタリア)
2012年 世界眼科会議 アブダビ
Invited Speaker Asia ARVO 
シンガポール Invited Speaker APAO 釜山 Invited Speaker
アメリカ眼科学会 シカゴ
Invited Speaker
2013年 APAO ハイデラバード
Invited Speaker アメリカ小児眼科学会
シンガポール Invited Speaker
ヨーロッパ眼形成学会 バルセロナ
2014年 世界眼科会議 東京 Invited Speaker
アジア太平洋眼形成外科学会 デリー
アメリカ眼形成学会 シカゴ
2015年 APAO 広州 Invited Speaker
2016年 KSAS(Korea Society of Aesthetic Surgery) meeting in Seoul
ITEDS(International Thyroid
Eye Disease) meeting in
London APSOPRS &
JSOPRS joint meeting session
chair iseminer
甲状腺眼症の手術治療など講演多数。
2017年 アメリカ眼科アカデミーinstructor、
韓国眼形成学会invited speaker、
中国眼形成学会invited speaker
2018年 アジア太平洋国際学会APAO invited speaker
2019年 アジア太平洋国際学会APAO invited speaker、
ITEDS invited speaker、
OPAIC invited speaker
2021年 アジア太平洋眼形成学会 invited speaker
2022年 アジア太平洋国際学会APAO、
ヨーロッパ眼形成学会、
米国眼形成学会
2023年 アジア太平洋国際学会APAO、
ヨーロッパ眼形成学会、
米国眼形成学会、タイ眼形成学会、
UCLA解剖実習コース、
ポルトガル解剖実習コース

監修・著書

メオアイス
監修

外眼部の周術期のケアに

メオアイス
名古屋眼鏡 まぶたやその周囲の手術のあとの”腫れ”や”痛み”を防止する目的で作られた医療用商品です。

アトラス眼瞼手術
著書

責任編集者

超アトラス 眼瞼手術
全日本病院出版 眼科と形成外科のコラボレーションを目指す、意欲的なアトラスが登場! オールカラーの連続写真、詳細なシェーマでわかりやすく解説されています。

眼瞼形成手術の基本手技
著書

責任編集者

ここからスタート! 眼形成手術の基本手技
全日本病院出版 眼形成外科を目指すドクターへの入門書。手術の道具や手技を詳細に解説しています。

鹿嶋先生 公式ブログはこちら

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