甲状腺眼症とは
甲状腺眼症は、Graves’病とも呼ばれ、一般的には甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や甲状腺機能亢進症に罹った事のある方に発症することが知られています。
世界的には、男性で10万人に0.54-0.9人、女性で10万人に2.67-3.3人、に発症すると言われております。甲状腺由来の抗体が、甲状腺とは”無関係”の眼組織(特に外眼筋や眼窩脂肪など)に対して、免疫細胞のかく乱を生じさせ、炎症を引き起こします。
目次
甲状腺眼症は、Graves’病とも呼ばれ、一般的には甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や甲状腺機能亢進症に罹った事のある方に発症することが知られています。
世界的には、男性で10万人に0.54-0.9人、女性で10万人に2.67-3.3人、に発症すると言われております。甲状腺由来の抗体が、甲状腺とは”無関係”の眼組織(特に外眼筋や眼窩脂肪など)に対して、免疫細胞のかく乱を生じさせ、炎症を引き起こします。
それによって、日常生活に悪影響を生じさせるほどの多彩な症状や、場合によっては視力低下まで引き起こします。また甲状腺機能が低い方や、正常な方にも発症するので、注意が必要です。喫煙習慣が、甲状腺眼症の悪化に強く関係していると言われているため、生活習慣の改善が非常に重要となってきます。
甲状腺機能亢進症の原因として、免疫細胞を刺激するタンパク質である、甲状腺ホルモン刺激抗体というものがあります。
この甲状腺由来の抗体が、血中を循環し、眼の脂肪組織や繊維組織に到達します。これらの組織は一見、甲状腺とは無関係のように思われますが、甲状腺ホルモン刺激抗体の受け皿となる受容体が、甲状腺よりは頻度が少ないものの、わずかながら発現しております。
これらの組織は一見、甲状腺とは無関係のように思われますが、甲状腺ホルモン刺激抗体の受け皿となる受容体が、甲状腺よりは頻度が少ないものの、わずかながら発現しております。
そこが刺激され、異常な免疫細胞の興奮/混乱(炎症)が生じることで、外眼筋や眼周囲脂肪組織が異常に腫れ上がります。それによって、眼球突出、眼球運動障害、上眼瞼のひきつれ、眼球の充血、重症では視神経の圧迫によって視力障害まで生じるのです。
甲状腺眼症の症状として、眼の乾燥感や違和感から始まり、光過敏、異常な流涙、複視(二重に物がみえる状態)、眼球後方の圧迫感などがあります。外見上は、上眼瞼後退(上まぶたのひきつれ/びっくり目)、眼周囲の腫れや赤み、日常的な眼球の充血、眼球突出など多彩な見た目の変化が生じます。そのため、外見上の変化を含め、日常生活に大きな影響を及ぼす疾患です。
甲状腺眼症の3~5%の方は、重症化することが知られています。最も注意しなければいけないのが、角膜潰瘍と甲状腺視神経症です。
角膜潰瘍は、眼球突出の悪化により、目を閉じることができなくなることで、最終的には黒目(≒角膜)に穴(≒潰瘍)があき、眼球の機能が大幅に低下します。
また、甲状腺視神経症とは、膨らんだ外眼筋が、その中心にある視神経(視力に一番大事な役割を果たす神経)を四方から圧迫して、視神経の機能を消失させ、大幅な視力低下を生じさせます。これらの場合、速やかな治療を行う必要があります。
甲状腺眼症の診断基準は、以下の通りです。
①自己免疫性甲状腺疾患
(バセドウ病や橋本病など)
②眼症状
(眼や眼周囲の痛み/流涙/眼瞼後退/眼瞼腫脹/
結膜の充血や浮腫/涙丘の発赤や腫脹/眼球突出/複視/
視力低下/角膜障害/視神経症など)
③画像診断(MRI)で眼球突出や
外眼筋肥大がある
この①②③を満たすことが非常に重要です。
具体的には①+②、①+③を満たせば、甲状腺眼症と診断されます。
つまり、大前提として、“甲状腺疾患と診断されている”あるいは“甲状腺の機能異常がある”ということが重要です。これらは、内科の先生から診断して頂くか、あるいは採血検査で明らかな甲状腺関係の項目に異常が検出されることが必要です。逆に言えば、内科などで甲状腺機能の異常が指摘されていると、目まわりに何か違和感があるようでしたら、甲状腺眼症を診断できる専門病院や眼科を速やかに受診して頂くことが重要となります。
また③の画像診断も重要です。基本的にMRI撮影を行いますが、特に眼球周囲を取り巻く、外眼筋(目の動きを司る筋肉)が肥大化していないか、炎症が生じていないかなどの、甲状腺眼症に特有の所見が生じていないか確認することで、その時の重症度などを判定する参考になるため、非常に大切な検査となります。また甲状腺眼症は重症度に応じて、その治療方針が決定していきます。
甲状腺眼症の治療方針は国際的に有名な指針が2021年に発表されました。
それが、European Group
on Graves’ orbitopathy(EUGOGO)という国際的なガイドラインです。
当院でもこのEUGOGOの方針に沿って、治療方針を決定しております。
まず甲状腺眼症は大きく、3つの重症度に分類されます。
この3分類に応じて、治療方針を決定します。
禁煙・甲状腺機能異常の治療・ドライアイ治療・セレニウム内服
500mg(750mg)のステロイド点滴、毎週パルス療法
ステロイド毎週パルス療法、ステロイド内服、眼窩放射線療法、様々な抗体療法
上記に加え、EUGOGOにも治療選択肢として記載されている、ステロイド局所投与療法を、当院ではより効果的な手法に改良して、①~③の治療に組み合わせて治療を行っております。
「バセドウ病眼症・甲状腺眼症」を詳しく見る
「甲状腺眼症についてよくある質問」を詳しく見る
患者さんへのご挨拶
これまで10年以上にわたり日米通算1万件以上の手術を行って参りました。 今までに私が培ってきた専門的な知識や経験を日本でお困りの患者さんの為に提供していきたいと思っています。
2002年 | 群馬大医学部卒 群馬大学 眼科学教室 |
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2004年 | 伊勢崎市民病院 |
2005年 | 群馬大眼科 |
2007年-09年 | 聖隷浜松病院 眼形成眼窩外科へ国内留学 |
2009年 | 群馬大にて眼形成外来を開設 |
2012年 | 学位取得 群馬大学眼科 助教 |
2010年-18年 | アジア太平洋眼形成学会理事 |
2015年-16年 | カリフォルニア大学 ロサンゼルス校へ留学 |
2017年 | 新前橋かしま眼科形成外科 クリニック 開院 |
2018年 | オキュロフェイシャルクリニック 東京 開院 |
2019年 | The NewYork Times特別企画「Next Era Leaders 2019」選出 |
2020年 | アメリカ眼形成学会(ASOPRS)会員 |
2009年 | Singapore National Eye Center |
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2010年 | アジア太平洋眼形成外科学会 北京 Invited Speaker |
2011年 | ヨーロッパ眼形成学会 コモ(イタリア) |
2012年 |
世界眼科会議 アブダビ Invited Speaker Asia ARVO シンガポール Invited Speaker APAO 釜山 Invited Speaker アメリカ眼科学会 シカゴ Invited Speaker |
2013年 | APAO ハイデラバード Invited Speaker アメリカ小児眼科学会 シンガポール Invited Speaker ヨーロッパ眼形成学会 バルセロナ |
2014年 | 世界眼科会議 東京 Invited Speaker アジア太平洋眼形成外科学会 デリー アメリカ眼形成学会 シカゴ |
2015年 | APAO 広州 Invited Speaker |
2016年 | KSAS(Korea Society of Aesthetic Surgery) meeting in Seoul ITEDS(International Thyroid Eye Disease) meeting in London APSOPRS & JSOPRS joint meeting session chair iseminer 甲状腺眼症の手術治療など講演多数。 |
2017年 | アメリカ眼科アカデミーinstructor、 韓国眼形成学会invited speaker、 中国眼形成学会invited speaker |
2018年 | アジア太平洋国際学会APAO invited speaker |
2019年 | アジア太平洋国際学会APAO invited speaker、 ITEDS invited speaker、 OPAIC invited speaker |
2021年 | アジア太平洋眼形成学会 invited speaker |
2022年 | アジア太平洋国際学会APAO、 ヨーロッパ眼形成学会、 米国眼形成学会 |
2023年 | アジア太平洋国際学会APAO、 ヨーロッパ眼形成学会、 米国眼形成学会、タイ眼形成学会、 UCLA解剖実習コース、 ポルトガル解剖実習コース |
外眼部の周術期のケアに
メオアイス
名古屋眼鏡 まぶたやその周囲の手術のあとの”腫れ”や”痛み”を防止する目的で作られた医療用商品です。
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責任編集者
ここからスタート! 眼形成手術の基本手技
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