公開日:2024.03.26
最終更新日: 2024.05.20
組織の剝離の仕方 鋭的VS鈍的
”組織の剝離の仕方 鋭的VS鈍的”
今回は手術の手技の話をしたいと思います
僕の手術のユーチューブを見てる方はご存知かもしれませんが、僕が行う手術ではあまり出血がありません
手術のビデオを観た方からよく鹿嶋先生の手術が出血が本当に少ないですね、なんて言われたりもするんですが、僕にとってはこれが当たり前なので特別なことなどは思わないですね
ただいろんな人からそういうコメントをいただくので自分自身の手術がほかの先生方に比べて出血が少なく、綺麗な仕上がりになっているということは理解できました
そしてほかの医療機関で手術をしてその修正にいらっしゃる方の手術をすると僕の手術の術後に、
「前回と違って全然晴れませんでした」なんて言われることがあるんです、いやむしろ毎回のようにそのように言われるんです
それなので今回は僕が手術の時に意識して行なっていることについて話したいと思います
手術というのは基本的に組織へのダメージを与えてしまう手技になります
つまり皮膚を切開して組織を切開して何か違ったものを違った場所に縫い付けるものが手術です
生まれて育ってきた構造を根本から変えて構造を組み替えて作り上げるのが手術という手技になるんです
ですのでその第一段階として組織を一旦バラして壊すということが必要になります
大抵の場合それはメスやハサミで行うことになるわけなんですけれども僕はメスが使いますがはさみは鋭的な操作には使ってないんです
全く使ってないわけではないので、ほとんど使ってないとも言い換えられるかと思います
はさみをほとんど鋭的に使わないというのはどういうことなのでしょうか
ハサミというのは鋭的に組織を破壊して行く道具です
それを鋭的に使わないこの意味について説明をしたいと思います
手術の際に考えていただきたいことは細胞レベルで障害をいかに少なくするかということなのです
細胞レベルで障害を少なくするということは、細胞を壊さないこと
手術によって細胞を壊す操作には細胞を切って壊してしまうことそれから細胞をすりつぶして壊してしまう、この2つが考えられると思うんです
そのうちすり潰すというのはなかなか起きることではないんですが眼窩深部の腫瘍などをとるときに脳ベラでずっと眼窩脂肪をかきわけているそのような操作を例えば2時間とか3時間やってしまったらそれは細胞をすりつぶすことになりますが、眼窩の手術というのはごくごく一部の専門家が起こる行う手術ですので、ここではそれについてはあまり解説する意味がないと思います
となると前者の切開によって細胞を壊すという操作をいかに少なくするかということが手術による組織のダメージを少なくするかという意味とイコールであるというふうに考えるわけなんです
次に考えていただきたいのが瞼の組織の中にどのような組織があるのか、どのような種類の組織があって、それがどの程度の強さを持っているのかなんです
眼瞼でいうと皮膚があって筋肉があり、それから脂肪があって神経があって血管があって結膜があります
そしてそれらの間に結合組織というものがあるんですね
正面の皮膚を切るのには一番ダメージが少ないのはメスだと思うので僕はメスを使います
その後組織の中に入った後で、皆さんハサミを使うと思うんですね
僕もスプリングス剪刀というハサミを使いますがその時に考えて頂きたいのが先ほど出した組織の種類で鋭的に組織を分けていくということをすれば必ず細胞のダメージは発生するわけです
細胞が壊れた時にサイトカインが出ますのでそれは必ず術後の腫れにつながるわけで、だからできるだけ鋭的な操作というのは避けた方がいい
ただ鋭的な操作なしに目的地にたどり着くことができるかというとそれは先ほど出したそれぞれの組織の種類とそれぞれの組織の強さを見ていただくとわかりやすいかなと思います
僕は組織を鈍的に分けていくことを心掛けているわけなんですけれどもなぜ鈍的がいいかというと、先ほど挙げた筋肉とか神経とか血管脂肪それから結合織というふうにある中で一番弱いのは結合織なんですね
組織としての強度が一番弱いのは結合織です
ですから均一に引っ張る力をかけて行った時に一番最初に破綻するのが結合織ということになります
均等に力がかかるわけですからね
これが僕が鈍的に剥離を進めていくことを多用している理由になります
つまり鈍的にやればちゃんと目的のところで組織が分かれていくんです
これは魚を食べる時を意識するとわかりやすいと思います強い力で箸でほじって食べようと思えばどうしても線維を破壊して食べ残しができてしまうというのは誰しもがわかることだと思います
そうではなくて骨の間に箸をうまく入れて剥離をしてポンと外すとブロック状に魚の身をとることができると思うのです
この操作を僕は手術で行うのです
だから細胞のダメージが少ない、サイトカインが出ないので術後の腫れが少ないという現象が起きるのだと思います
思い返すと小さいころ、今は亡くなってしまったおばあちゃんに「トモは本当に魚を食べるのが上手ねえ」と驚かれたのが思い出されます
小さいころから僕には標準装備されていたのですね(笑)
他の先生の手術ビデオを見てると皮膚の切開の後に例えば眼輪筋を切る時に、眼輪筋の線維を傷つけないようにしようとは全く考えずに中に入っている方々がほとんどだと思うんですが、僕は違います
裂けるチーズっていう商品があると思うのですが、あの間に入るようにですねその線維の一本一本を傷つけないようにできるだけ筋線維を切らないようにと思って中に入ってくるんです
だからそういう差が出るのです
眼瞼の手術を行う方はこういうようなことを意識すると術後の腫れが少なく患者さんへのダメージが少ない手術が出来ると思います
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2023年 手術実績 11,491件 (2022年1-12月)
うち眼瞼下垂手術 6,241件
現 涙道涙液学会 理事
元 群馬大学 非常勤講師(2014-20)
元 帝京大学 非常勤講師(2017-19)
元 アジア太平洋眼形成学会 理事(2010-18)
オキュロフェイシャルクリニック東京 中央区銀座1丁目ビル8F
03-5579-9995
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山本美憂選手との対談はこちら
https://youtu.be/OHHnJZxfziw
2019年11月10日のバセドウ病眼症講演会の内容はこちら
https://youtu.be/kxH9sgrlt0A
東京MXで紹介されました
https://youtu.be/eE2yMVMhW0U
OurAgeにバセドウ病眼症の治療を特集していただきました
https://ourage.jp/column/karada_genki/more/187841/
バセドウ病眼症に悩んでいる方はどうぞ
「1時間で分かる 甲状腺眼症入門パンフレット」
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現物
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公開日:2024.03.25
最終更新日: 2024.05.20
甲状腺眼症による目のクマ・たるみについての手術 連続7症例 症例⑤
甲状腺眼症では目の下にクマが出来たり、たるみが出来たりします
当院で行われている眼窩減圧術は、眼球突出を治す手術ではありますが脂肪を切除する手術ですので、目の下のクマも改善することができます。
その一方で甲状腺癌症の再発などがあった場合には再度クマができてしまう方もいます。
当院では眼窩減圧術を行った際に切除した眼窩脂肪をクマの部分に移植することによって目の下のクマをほぼ完璧に取り除くということを行っています。
甲状腺眼症では目を見開いたような状態になることがあり、これを眼瞼後退と言います。眼瞼後退は主として上まぶたに出現しますが、下まぶたに発症する方もいます。
これも眼窩減圧ですこし改善するのですが、脂肪移植を行うことでさらに改善することが可能です。
眼窩減圧時に眼窩脂肪移植を併用する術式はオプションとなってしまうので追加料金が必要となりますが、かなり良い結果を出すことができているので、その症例を供覧したいと思います。
美容外科で脱脂してから減圧に来られる方が、よくいらっしゃるのですが、間違いです。
この手術をすれば、全て解決することが出来ます。
注目して見て頂きたいポイントは、①クマの改善、②下眼瞼の位置、の2点です。
追加料金
+220,000円
症例5
この方はクマというよりも下眼瞼の凹みがあり眼球が突出していることと合わせて下眼瞼に濃い影が出来てしまっていました。
脂肪減圧と脂肪移植により、眼球と目の下の影の部分のギャップが埋まったため、影が薄くなっています。
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公開日:2024.03.23
最終更新日: 2024.05.20
形成外科医がスペシャリストになれない理由
“形成外科医がスペシャリストになれない理由”
眼形成外科医から見た形成外科医についてここ最近書いてきました
いろいろ議論を呼ぶ内容であるのは百も承知です
でも日本人的な奥ゆかしさって、今後の日本に必要なのかな?って思うんですよね
話題のドラマ「不適切にもほどがある」にも表れているように、言わなきゃいけないことを言わない雰囲気が現代の日本には強すぎるんです
僕は言わなきゃいけないことは言う、というキャラを貫き通し、皆さんに世の中の真実について知ってもらいたいと思います
それが世の中のため、日本のためになると信じているからです
さて、おそらく今回の記事が形成外科医について書く最後の投稿になると思います(そもそも興味ないのです)
僕はもともと眼科医として医師人生をスタートしました
そこから眼形成という眼科と形成外科の境界領域を突き詰めていく訳ですが、だからこそ形成外科の世界も垣間見ることが出来たのですね
そのうえで形成外科医の業界にはいろいろと矛盾があるということに気付きました
今回のタイトルが、まさにそれです
以前、眼科医は精緻なところを求めるが、形成外科医は精緻なところを突き詰められないという欠点があると書きました
今回は形成外科医にスペシャリストがほとんど存在しない理由を説明します
形成外科というのは頭のてっぺんの黒子から足の指先の巻き爪まで治療する診療科です
手術に特化しているので、全身のいろいろな疾患をすべて引き受けることが矜持です
一見するとすごいことのように思いますが、真実は真逆です
「器用貧乏」と言う言葉がありますが、これがまさに形成外科医を表すのです
すべて「出来ます」と言う、しかし何一つ専門家としてのレベルで手術をすることは出来ません
これは形成外科医個人個人の問題というより、形成外科業界の構造的欠陥から来るものなのです
眼科医というのは苦手分野に手を出そうとしません
大抵の眼科医は白内障をしますが、斜視手術はしません
斜視の患者さんが来たら斜視の専門家に送ります
緑内障手術をしない眼科医は緑内障手術が得意な眼科医に患者を送るのです
僕は甲状腺眼症の患者さんの眼窩減圧術をしますが、斜視があれば自分でやらずに熱海の後関先生に送ります
ですから専門家はより先鋭化し、専門技術を突き詰めることが出来ます
専門家になればその分野で非常に突出したところまで到達できる、これが眼科医の世界です
一方で形成外科医はどうでしょうか
形成外科医は頭のてっぺんから足の指先まで治療する何でも屋
3回手術をやったら「その手術出来ます!」と言っちゃってよい分野です
全ての形成外科医が、全ての分野の手術を行うことを求められるのです
その結果何が起きるか
眼科医と逆のことが起きるのです
全ての形成外科医が、全ての手術を行う
だから形成外科医はお互いに紹介しません
その結果、専門家が生まれません
全員が全員、目の前の患者さんをやってしまう
そうなると誰しもが専門家=スペシャリストにならないのです
眼科医である僕から見ると、業界の構造的欠陥にしか見えないのですが、誰にも症例が集中しないので、誰もが素人のまま
すべての手術に関して、眼科医からしたら素人レベルまでしか到達できない
もちろん聖隷の師匠である嘉鳥先生みたいに精緻を極められる人も稀にはいる
でもこれは例外中の例外です
業界的に専門家=スペシャリストが生まれない構造になっているのです
例えて言うなら、お米の栽培がすごく得意な人がいるとして
自分の土地をすべてお米の栽培に使うのが眼科医
土地を時間と言い換えてもいいです
得意なことに100%全力を注ぐのが一番タイムパフォーマンスが良いのが分かると思います
眼科医とは逆で、お米の栽培が得意だったとしても他の農作物も作らないといけないのが形成外科医
自分の土地の10%をお米の栽培に、あとの90%はとうもろこし、じゃがいも、ネギ、ナス、ニンジンなんかを作るのに充てるのが形成外科医です
タイムパフォーマンスが悪いのが分かると思います
自分の土地を100%得意分野に向ける方が道理が良いのは誰しも頷けることだと思います
眼科医からしたら形成外科医も専門家でしょ?って思うと思うのです
僕は眼科医ですから、その気持ちは分かります
でも違うんです
業界的に、構造的欠陥を抱えている、専門家集団ではない、むしろ眼科医の基準からしたらどの手術も素人レベルであるということを理解して頂けたらと思います
僕は嘉鳥先生の元で修業をしたので、形成外科医の切開法合の技術ってすごいんだな、と思いながら眼形成外科医のキャリアをスタートさせました
切開や縫合へのこだわりって凄いなあと思っていたのです
しかし当院で研修した4名の形成外科医は切開も縫合もど素人レベル
技術レベルが低くて唖然としました
本当にびっくりするんです
切開や縫合がダメだったら何を矜持として仕事をしているんだろうって思いました
器用貧乏と言いましたが、器用ですらないのかもしれない、それが僕が見てきた形成外科の現実です
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公開日:2024.03.19
最終更新日: 2024.03.29
甲状腺眼症による目のクマ・
たるみの手術
甲状腺眼症では目の下にクマが出来たり、たるみが出来たりします。
当院で行われている眼窩減圧術は、眼球突出を治す手術ではありますが脂肪を切除する手術ですので、目の下のクマも改善することができます。
その一方で甲状腺眼症の再発などがあった場合には、再度クマができてしまう方もいます。
甲状腺眼症による目の下のクマも治療可能です。
当院では、眼窩減圧術を行った際に切除した眼窩脂肪をクマの部分に移植することによって、目の下のクマをほぼ完璧に取り除くということを行っています。
甲状腺眼症では目を見開いたような状態になることがあり、これを眼瞼後退と言います。眼瞼後退は主として上まぶたに出現しますが、下まぶたに発症する方もいます。
これも眼窩減圧で少し改善するのですが、脂肪移植を行うことでさらに改善することが可能です。
眼窩減圧時に眼窩脂肪移植を併用する術式はオプションとなってしまうので追加料金が必要となりますが、かなり良い結果を出すことができているので、その症例を供覧したいと思います。
美容外科で脱脂してから減圧に来られる方が、よくいらっしゃるのですが、間違いです。
この手術をすれば、全て解決することが出来ます。
注目して見て頂きたいポイント2点
クマの改善
下眼瞼の位置
追加料金
+220,000円
症例写真
甲状腺眼症によって眼球突出だけでなく、目のクマにも悩まされるようになってしまいました。眼窩減圧術と同時に眼窩縁靭帯の切離+脂肪移植を行い、目の印象はかなり改善していることが分かると思います。
関連診療ページについて
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公開日:2024.03.19
最終更新日: 2024.05.20
甲状腺眼症による目のクマ・たるみについての手術 連続7症例 症例④
甲状腺眼症による目のクマ・たるみについての手術
甲状腺眼症では目の下にクマが出来たり、たるみが出来たりします
当院で行われている眼窩減圧術は、眼球突出を治す手術ではありますが脂肪を切除する手術ですので、目の下のクマも改善することができます。
その一方で甲状腺癌症の再発などがあった場合には再度クマができてしまう方もいます。
当院では眼窩減圧術を行った際に切除した眼窩脂肪をクマの部分に移植することによって目の下のクマをほぼ完璧に取り除くということを行っています。
甲状腺眼症では目を見開いたような状態になることがあり、これを眼瞼後退と言います。眼瞼後退は主として上まぶたに出現しますが、下まぶたに発症する方もいます。
これも眼窩減圧ですこし改善するのですが、脂肪移植を行うことでさらに改善することが可能です。
眼窩減圧時に眼窩脂肪移植を併用する術式はオプションとなってしまうので追加料金が必要となりますが、かなり良い結果を出すことができているので、その症例を供覧したいと思います。
美容外科で脱脂してから減圧に来られる方が、よくいらっしゃるのですが、間違いです。
この手術をすれば、全て解決することが出来ます。
注目して見て頂きたいポイントは、①クマの改善、②下眼瞼の位置、の2点です。
追加料金
+220,000円
症例4
甲状腺眼症によって眼球突出だけでなく、目のクマにも悩まされるようになってしまいました。眼窩減圧術と同時に眼窩縁靭帯の切離+脂肪移植を行い、目の印象はかなり改善していることが分かると思います。
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公開日:2024.03.13
最終更新日: 2024.05.20
甲状腺眼症による目のクマ・たるみについての手術 連続7症例 症例③
甲状腺眼症による目のクマ・たるみについての手術
甲状腺眼症では目の下にクマが出来たり、たるみが出来たりします
当院で行われている眼窩減圧術は、眼球突出を治す手術ではありますが脂肪を切除する手術ですので、目の下のクマも改善することができます。
その一方で甲状腺癌症の再発などがあった場合には再度クマができてしまう方もいます。
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甲状腺眼症では目を見開いたような状態になることがあり、これを眼瞼後退と言います。眼瞼後退は主として上まぶたに出現しますが、下まぶたに発症する方もいます。
これも眼窩減圧ですこし改善するのですが、脂肪移植を行うことでさらに改善することが可能です。
眼窩減圧時に眼窩脂肪移植を併用する術式はオプションとなってしまうので追加料金が必要となりますが、かなり良い結果を出すことができているので、その症例を供覧したいと思います。
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この手術をすれば、全て解決することが出来ます。
注目して見て頂きたいポイントは、①クマの改善、②下眼瞼の位置、の2点です。
追加料金
+220,000円
症例3
甲状腺眼症によって眼球突出だけでなく、目のクマにも悩まされるようになってしまいました。眼窩減圧術と同時に眼窩縁靭帯の切離+脂肪移植を行い、目の印象はかなり改善していることが分かると思います。
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