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下眼瞼があっかんべーに
なりやすい理由②
今回の投稿は前回からの続きです。
まだ読んでないかたは前回の投稿を読んでからこちらをご覧ください。
では先に挙げた2つの原因について見ていきましょう。
まず1つめですが、皮膚の過剰切除についてです。
上眼瞼は年齢とともにたるみが増えていきます。
下眼瞼も同様なのですが、上眼瞼とは条件が違います。
それは皮膚が増えるのと同時に、頬のたるみが増していくということです。
何が言いたいかというと、加齢に伴って頬のたるみが増す分、重力によって頬が下がっていくのです。
だから下眼瞼の皮膚が増えたとしても、差し引きすると上眼瞼のように皮膚が余剰にならないということです。
この重力によって、という言葉がカギになるのですが、手術の時というのはベッドに寝た状態でデザインを行います。ベッドに寝ているこの時には頬に重力はかかりません。
よって頬が起きている時よりも上がっているのですね。
術者にとっては頬が上がっていることに気付かなければ、より皮膚が余っていると誤認しがちな状態になっているのです。
これが皮膚を取りすぎてしまう理由です。
この状態でぴったりに皮膚を切除すると起きた時に頬が下がりますから、その頬の重力がダイレクトに下眼瞼にのしかかることで先述のおデブさんのハンモック状態になってあっかんべーになってしまうのです。
これを防ぐにはどうしたらよいのか
これには下眼瞼皮膚を切りすぎないということに尽きます。
というか出来るだけ下眼瞼の皮膚は取らない・しないことです。
我々のグループでは目のクマの手術を行う時に下眼瞼皮膚を出来るだけ取らないように気をつけています。
いわゆる裏ハムラという手術を勧めているのですね。
皮膚から入る表ハムラを行う時でも、最小限の皮膚切除しか行いません。
また表ハムラの場合には必ず眼輪筋を傷つけてしまいますから、筋が一時的・部分的にでも眼輪筋は麻痺を起こします。これもまたあっかんべーの原因となるのですね。
ですから僕は表ハムラよりも裏ハムラを勧めています。
当院では基本的に裏ハムラを行っていて、皮膚の切除・切開はおこなっていないのです。
もし皮膚弛緩が気になるようなら3か月後に追加切除しています。
これは術後に起きる外反を避けるためなのです。
ただし裏ハムラにもデメリットがあります。
それは術野が狭いので技術が無いと出来ない、ということです。
狭い術野から何かを行うには、内部の構造をよく知らないといけないのですね。
直接見ることが出来ない部分もありますから、解剖だけでなく、内部の操作によって組織がどのようになっているか分かっていなければいけないのです。
つまり、技術、と、経験、の二つが必要になります。
表ハムラであれば、直視することが出来るのでいろいろな操作を行うことは簡単なのです。
裏ハムラだと直視できない部分があるのです。
裏ハムラは技術を必要とする、これが裏ハムラを行う医師が少ない理由になります。