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組織の剝離の仕方 鋭的VS鈍的
”組織の剝離の仕方 鋭的VS鈍的”
今回は手術の手技の話をしたいと思います
僕の手術のユーチューブを見てる方はご存知かもしれませんが、僕が行う手術ではあまり出血がありません
手術のビデオを観た方からよく鹿嶋先生の手術が出血が本当に少ないですね、なんて言われたりもするんですが、僕にとってはこれが当たり前なので特別なことなどは思わないですね
ただいろんな人からそういうコメントをいただくので自分自身の手術がほかの先生方に比べて出血が少なく、綺麗な仕上がりになっているということは理解できました
そしてほかの医療機関で手術をしてその修正にいらっしゃる方の手術をすると僕の手術の術後に、
「前回と違って全然晴れませんでした」なんて言われることがあるんです、いやむしろ毎回のようにそのように言われるんです
それなので今回は僕が手術の時に意識して行なっていることについて話したいと思います
手術というのは基本的に組織へのダメージを与えてしまう手技になります
つまり皮膚を切開して組織を切開して何か違ったものを違った場所に縫い付けるものが手術です
生まれて育ってきた構造を根本から変えて構造を組み替えて作り上げるのが手術という手技になるんです
ですのでその第一段階として組織を一旦バラして壊すということが必要になります
大抵の場合それはメスやハサミで行うことになるわけなんですけれども僕はメスが使いますがはさみは鋭的な操作には使ってないんです
全く使ってないわけではないので、ほとんど使ってないとも言い換えられるかと思います
はさみをほとんど鋭的に使わないというのはどういうことなのでしょうか
ハサミというのは鋭的に組織を破壊して行く道具です
それを鋭的に使わないこの意味について説明をしたいと思います
手術の際に考えていただきたいことは細胞レベルで障害をいかに少なくするかということなのです
細胞レベルで障害を少なくするということは、細胞を壊さないこと
手術によって細胞を壊す操作には細胞を切って壊してしまうことそれから細胞をすりつぶして壊してしまう、この2つが考えられると思うんです
そのうちすり潰すというのはなかなか起きることではないんですが眼窩深部の腫瘍などをとるときに脳ベラでずっと眼窩脂肪をかきわけているそのような操作を例えば2時間とか3時間やってしまったらそれは細胞をすりつぶすことになりますが、眼窩の手術というのはごくごく一部の専門家が起こる行う手術ですので、ここではそれについてはあまり解説する意味がないと思います
となると前者の切開によって細胞を壊すという操作をいかに少なくするかということが手術による組織のダメージを少なくするかという意味とイコールであるというふうに考えるわけなんです
次に考えていただきたいのが瞼の組織の中にどのような組織があるのか、どのような種類の組織があって、それがどの程度の強さを持っているのかなんです
眼瞼でいうと皮膚があって筋肉があり、それから脂肪があって神経があって血管があって結膜があります
そしてそれらの間に結合組織というものがあるんですね
正面の皮膚を切るのには一番ダメージが少ないのはメスだと思うので僕はメスを使います
その後組織の中に入った後で、皆さんハサミを使うと思うんですね
僕もスプリングス剪刀というハサミを使いますがその時に考えて頂きたいのが先ほど出した組織の種類で鋭的に組織を分けていくということをすれば必ず細胞のダメージは発生するわけです
細胞が壊れた時にサイトカインが出ますのでそれは必ず術後の腫れにつながるわけで、だからできるだけ鋭的な操作というのは避けた方がいい
ただ鋭的な操作なしに目的地にたどり着くことができるかというとそれは先ほど出したそれぞれの組織の種類とそれぞれの組織の強さを見ていただくとわかりやすいかなと思います
僕は組織を鈍的に分けていくことを心掛けているわけなんですけれどもなぜ鈍的がいいかというと、先ほど挙げた筋肉とか神経とか血管脂肪それから結合織というふうにある中で一番弱いのは結合織なんですね
組織としての強度が一番弱いのは結合織です
ですから均一に引っ張る力をかけて行った時に一番最初に破綻するのが結合織ということになります
均等に力がかかるわけですからね
これが僕が鈍的に剥離を進めていくことを多用している理由になります
つまり鈍的にやればちゃんと目的のところで組織が分かれていくんです
これは魚を食べる時を意識するとわかりやすいと思います強い力で箸でほじって食べようと思えばどうしても線維を破壊して食べ残しができてしまうというのは誰しもがわかることだと思います
そうではなくて骨の間に箸をうまく入れて剥離をしてポンと外すとブロック状に魚の身をとることができると思うのです
この操作を僕は手術で行うのです
だから細胞のダメージが少ない、サイトカインが出ないので術後の腫れが少ないという現象が起きるのだと思います
思い返すと小さいころ、今は亡くなってしまったおばあちゃんに「トモは本当に魚を食べるのが上手ねえ」と驚かれたのが思い出されます
小さいころから僕には標準装備されていたのですね(笑)
他の先生の手術ビデオを見てると皮膚の切開の後に例えば眼輪筋を切る時に、眼輪筋の線維を傷つけないようにしようとは全く考えずに中に入っている方々がほとんどだと思うんですが、僕は違います
裂けるチーズっていう商品があると思うのですが、あの間に入るようにですねその線維の一本一本を傷つけないようにできるだけ筋線維を切らないようにと思って中に入ってくるんです
だからそういう差が出るのです
眼瞼の手術を行う方はこういうようなことを意識すると術後の腫れが少なく患者さんへのダメージが少ない手術が出来ると思います
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2023年 手術実績 11,491件 (2022年1-12月)
うち眼瞼下垂手術 6,241件
現 涙道涙液学会 理事
元 群馬大学 非常勤講師(2014-20)
元 帝京大学 非常勤講師(2017-19)
元 アジア太平洋眼形成学会 理事(2010-18)
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