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教育の対価と給料の意味

 

“教育の対価と給料の意味”

 

ここ2回、議論のある内容を書いてきました

 

今回は人件費についての一般論からスタートして話していきたいと思います

 

このブログの読者のほとんどの方は経営者ではないと思います

だから経営者から見た人件費つまりスタッフにとってのお給料というものを深く考えることは無いことが多いと思います

 

今回は経営側から見た人件費スタッフから見たお給料について経営側がどのように思っているかを書きたいと思うでのす

 

多分どこかの組織に就職して働いている方からすると、給料というのはそこで働いて拘束された時間の対価だと思います

 

それは当然のことでコンビニのバイトでも家庭教師でもレストランのフロアスタッフでも拘束された時間に応じてお金がいただけるというのは世の中のルールだからです

 

ただこれが経営側から見たら全然違って見えます

人件費というのはお金=投資ですから、それが回収できることが大前提です

 

こちらも善意の寄付をしているわけでは無いのでしっかり人件費分、いやその何倍も返してもらえないと意味がないというか大損されられたのと同じことになります

 

例えばティッシュやチラシ配りのアルバイトみたいにただただそこにいて通行人に何か配れば良いという風な仕事の場合、人が一人いるだけでその人がいることに意味があります

 

ですが高度な技術を必要とするような職種の場合、もしくはそう高度ではなくてなくてもある一定のトレーニングをしないと戦力にならない場合戦力になるまでのお給料というのはその人の教育のために費やしたお金になるので組織に何のプラスも生み出さないどころかお給料を払っている分だけマイナスになるのです

 

当院の事務スタッフで言えば最初はもちろん足手まといで先輩から技術を教わって仕事を覚え、自立して動けるようになるまで半年ぐらいかかってしまうんです

 

ですから例えば3ヶ月ぐらいで「私辞めます」なんて言って来た日にはそのスタッフは3か月分の給料額面で言うと100万円ぐらいを無駄に持って行ったドロボーのように見えるんです

 

うちに入職した人は最低でも一年ぐらいは働いてもらわないと当初の教育に費やした人件費というものの回収ができないんですね

 

つまり、教育にはお金がかかり、経営側から見たらその回収には雇い入れたスタッフにしっかりと働いてもらわなければならない、という話です

 

次に、教育というもののコストに対して、対価がどのように支払われているのか、についてお話したいと思います

教育というのは本来コストがかかるものであり、それに対する対価を払う必要があるのですが、子供時代から意識することはほとんどありません

 

そこで医者の人生を例にして、教育というものがどのようにされてきたか、そしては対価がどのように支払われてきたのかを考えてみたいと思います

 

日本人であれば、通常小学校、中学校、高校と学校教育があります

 

教育というサービスは,

教師の時間を使い、教科書を買い、学校などの不動産を使う必要があります

 

つまり教育にはかならずコストがかかっているのですが、それを受けるにあたりその教育に対しての対価というものを自分では払いませんので、意識することは通常ほとんどありません

 

しかしこれは、親が支払っている、もしくは国からの補助金つまり親が支払った税金で賄われているだけで自分は意識していないだけ、です

 

医学部に入ると、特に私大ではほかの学部よりもかなり大きなお金が動きますが、これも教育の対価というのは親が払ってきたわけです

 

教育には常に対価が必要であり、意識していないけれど、それは親が払ってきたということを覚えておいてください

 

ただし医師になって働いてからは少し違います

 

医師の教育というのは研修医として大学病院や地域の大病院で行われることが多いのですが、そこにはお給料が発生し医師に支払われるのでいままでとお金の流れが逆になります

 

では教育の対価は何によって支払われたのでしょうか?

 

それは労働になります

 

研修医のころは役に立たたなくてもその場にいればいいような仕事例えば病棟のカルテの整理や当直の電話番などです

 

そういうことをすることによって教育の対価を支払ってきたんです

 

大体2年くらい、安月給で働かされ、当直などの肉体労働を行うのが常識です

 

何度も繰り返しますが教育には対価が必要であるということなんです

 

かならず教育には何らかの形で対価を支払う必要があります

 

 

しかしですよ、当グループにて眼形成の研修を行う場合には全く状況が異なります

正直に言って最初から全く役に立たないんです

それどころか新入職の新人はただ医師免許持っているだけで眼形成の技術がないので先輩が指導しなければいけません

そうなると先輩の時間も奪われるし時間だけでなく労力もかかります

 

さらに必ずどこかで失敗して患者さんに迷惑をかけます

 

当院には当直や病棟雑務もありませんから、新人医師が教育の対価を支払うことは出来ないのです

だから我々にとっては新人を受け入れることは大きなマイナスでしかないです

 

ですがの本人のやりたいというやる気や意思を尊重して迎え入れてあげるわけです

 

そういう新人さんたち、まったく組織にとってマイナスの人間に対して、経営側の気持ち的には、無給でどころか教育の対価としてお金を貰いたいくらいです

 

ですが、若いドクターというのは他のアルバイト断って勉強に来ることが多いので当院から給料が出ないと生活に困窮してしまうのです

 

ですからアルバイト代として1日に6万円+交通費を支給してあげてるんです(週1で月に24万)

 

当グループにとっては時間もかかる労力もかかる患者からの評判は落ちる、そして人件費まで支払うという三重苦四重苦の状態が新人を受け入れた際には起きるわけなんです

 

経営側で無い人も、自分が誰かに月に24万払う、と仮定してみてください

 

相当の覚悟が必要なことが分かると思います

 

こんな状態ですので、僕は奨学金のようなつもりで新人医師に給料を支払います

 

だから新人側の責任としてできるだけ早く技術を習得して普通に手術ができるようになる、そして後輩に指導をして次世代の教育を担う、そういうことによって恩返しをするということが必要です

 

人として、鹿嶋と当グループに感謝をして一生懸命頑張る、というのが必要なのです

 

眼形成の医師としてある程度の状態になるまでにフルタイムで働いて1年ぐらいの時間がかかります

 

自律的に1件の手術をこなせるまでに1年、組織にとってプラスマイナスゼロになるまで1年かかるのです

 

我々から見ればその1年でやっとゼロ、いままで投資したマイナスを回収するのは次の1年でということになるわけですですから基本的に眼形成の研修はフルタイムで2年必要ということを伝えています

 

今回のわかってほしいのは教育には対価が必要であること、それから人件費というのは経営側から見たら投資であってその回収をしなければいけないということ、それから対価を自分で支払えない以上、一生懸命技術を習得して組織に恩返しを考えなければいけないということです

 

長くなったので、次回に持ち越します

もうすこし続きます

 

次回は今までいた形成外科医がそんな我々に対して行った仕打ちを紹介します

 

 

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2023年 手術実績 11,491件 (2022年1-12月)

うち眼瞼下垂手術 6,241件

 

 

現 涙道涙液学会 理事

元 群馬大学 非常勤講師(2014-20)

元 帝京大学 非常勤講師(2017-19)

元 アジア太平洋眼形成学会 理事(2010-18)

 

 

 

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