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眼瞼後退の治療について
眼瞼後退の治療について
今回はバセドウ病眼症への減圧術ではなく、眼瞼後退の治療について解説します。
バセドウ病眼症では眼球突出するのはご存知の通りですが
それだけではなく、まぶたを引き上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の異常により、片眼もしくは両眼とも眼瞼後退という状態になることがあります。
眼瞼後退になると上方強膜が露出するため、ビックリしたような目になってしまいます。
左右差があるとなおさら強調されてしまい、奇異な目つきになってしまうのです。
活動期での治療方法について
上眼瞼挙筋がまぶたを過剰に引き上げていることが原因です。
治療としては、活動期には腫れている筋肉の腫れを抑える治療を行います。
つまりステロイドの注射、点滴を行います。
上眼瞼挙筋は眼窩の奥にありますが、当院ではまぶたの上から直接注射をします。
すこし奥の方になるので一般眼科の先生方はなかなか手を出しづらいのですが
そこは眼窩の専門家なので(笑)お手の物です。
点滴も同時に行うことがありますが、
直接注射の方がパワフルに効くと思います。
ステロイド剤は徐々に吸収されるもので、その効果は約2か月続きます。
2か月後に再度、まぶたが上がってしまったらもう一度注射を検討します。
非活動期での治療方法について
非活動期となってしまったら手術が選択肢に入ります。
手術には様々な術式があります。
選択肢として、
- 皮膚切開なのか、結膜切開なのか(表からか、裏からか)
- 挙筋のどの部分を操作するのか
- 挙筋を切開するか、切除するのか
- 挙筋を切離したままにするのか、なにかを入れてくるのか(延長方法の違い)
眼瞼後退への手術で困るのは手術中のまぶたの上がり具合と、
最終的な仕上がりが異なる場合があるため、結果の予測ができないことです。
まぶたを下げる手術は予測が出来ないのです。
一方で上げる手術では予測することが出来ます。
だから、手術をして下がりすぎてしまったまぶたを
もう一度上げる手術する、といったように複数回の手術が必要になる場合があります。
先週もお一人、他院手術で下がりすぎてしまったまぶたを上げる手術を行いました。
術中はほぼ完ぺきに左右をそろえられたので自信はありますが、
どのような仕上がりになっているか、再診が待ち遠しいです。
専門医へのご相談はこちら
日本では眼形成の専門医師・専門施設が少なく、治療に対する情報量も少ないのが現状です。
その為多くの場合、病気や事故等によって目の周りの表情が変化した患者さんが自分の症状は治らないものだと思い込んでしまい、元の状態に戻す事を諦めてしまっている事が多いと感じています。
決して諦めないでください。まずは専門医にご相談ください。
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なぜ?治るの? バセドウ病になると目の下にクマが出来る理由としては以下の通りです。バセドウ病では目のまわりにある脂肪が増え、筋肉が増大します。それにより眼窩組織が増えるので、眼球突出が起きるのですが、同時に下眼瞼の脂肪が突出するために目のクマが出来るのです。
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バセドウ病眼症への治療
についての動画
2019年11月10日のバセドウ病眼症
講演会の内容はこちら
OurAgeに特集していただきました
こちらから
バセドウ病眼症に悩んでいる方はどうぞ
「1時間で分かる甲状腺眼症
入門パンフレット」
現物
kindle版
著者情報
鹿嶋 友敬
Tomoyuki Kashima/ MD, PhD
患者さんへのご挨拶
これまで10年以上にわたり日米通算1万件以上の手術を行って参りました。 今までに私が培ってきた専門的な知識や経験を日本でお困りの患者さんの為に提供していきたいと思っています。
経 歴
2002年 | 群馬大医学部卒 群馬大学 眼科学教室 |
---|---|
2004年 | 伊勢崎市民病院 |
2005年 | 群馬大眼科 |
2007年-09年 | 聖隷浜松病院 眼形成眼窩外科へ国内留学 |
2009年 | 群馬大にて眼形成外来を開設 |
2012年 | 学位取得 群馬大学眼科 助教 |
2010年-18年 | アジア太平洋眼形成学会理事 |
2015年-16年 | カリフォルニア大学 ロサンゼルス校へ留学 |
2017年 | 新前橋かしま眼科形成外科 クリニック 開院 |
2018年 | オキュロフェイシャルクリニック 東京 開院 |
2019年 | The NewYork Times特別企画「Next Era Leaders 2019」選出 |
2020年 | アメリカ眼形成学会(ASOPRS)会員 |
海外・国内活動
2009年 | Singapore National Eye Center |
---|---|
2010年 | アジア太平洋眼形成外科学会 北京 Invited Speaker |
2011年 | ヨーロッパ眼形成学会 コモ(イタリア) |
2012年 |
世界眼科会議 アブダビ Invited Speaker Asia ARVO シンガポール Invited Speaker APAO 釜山 Invited Speaker アメリカ眼科学会 シカゴ Invited Speaker |
2013年 | APAO ハイデラバード Invited Speaker アメリカ小児眼科学会 シンガポール Invited Speaker ヨーロッパ眼形成学会 バルセロナ |
2014年 | 世界眼科会議 東京 Invited Speaker アジア太平洋眼形成外科学会 デリー アメリカ眼形成学会 シカゴ |
2015年 | APAO 広州 Invited Speaker |
2016年 | KSAS(Korea Society of Aesthetic Surgery) meeting in Seoul ITEDS(International Thyroid Eye Disease) meeting in London APSOPRS & JSOPRS joint meeting session chair iseminer 甲状腺眼症の手術治療など講演多数。 |
2017年 | アメリカ眼科アカデミーinstructor、 韓国眼形成学会invited speaker、 中国眼形成学会invited speaker |
2018年 | アジア太平洋国際学会APAO invited speaker |
2019年 | アジア太平洋国際学会APAO invited speaker、 ITEDS invited speaker、 OPAIC invited speaker |
2021年 | アジア太平洋眼形成学会 invited speaker |
2022年 | アジア太平洋国際学会APAO、 ヨーロッパ眼形成学会、 米国眼形成学会 |
2023年 | アジア太平洋国際学会APAO、 ヨーロッパ眼形成学会、 米国眼形成学会、タイ眼形成学会、 UCLA解剖実習コース、 ポルトガル解剖実習コース |
監修・著書
監修
外眼部の周術期のケアに
メオアイス
名古屋眼鏡 まぶたやその周囲の手術のあとの”腫れ”や”痛み”を防止する目的で作られた医療用商品です。
著書
責任編集者
超アトラス 眼瞼手術
全日本病院出版 眼科と形成外科のコラボレーションを目指す、意欲的なアトラスが登場! オールカラーの連続写真、詳細なシェーマでわかりやすく解説されています。
著書
責任編集者
ここからスタート! 眼形成手術の基本手技
全日本病院出版 眼形成外科を目指すドクターへの入門書。手術の道具や手技を詳細に解説しています。